CJ・マッカラム

「きっちり結果を出すことで、それに値する選手だと証明してみせる」

トレイルブレイザーズは、今シーズンもデイミアン・リラードとともに始動した。昨シーズンを終えて、彼が自分のキャリアをこのままブレイザーズに捧げて良いものか、迷いに迷ったのは事実だ。ニール・オルシーGMはリラードが満足するチームを作る必要に迫られたが、彼も考えに考えた末に、チームの大枠を残したまま選手層を厚くする選択をした。

トレーニングキャンプ開始に先立って行われたメディアデーの会見で、リラードは「何かを変えました、とアピールするだけのことをする必要はないと球団には伝えた」と明かす。「現実的にチームが良くなるために何ができるのか、それを考えて実行してほしかったし、実際にそうなった。いきなりケビン・デュラントを獲得できるとは思わないしね。ウチはこれまでそうだったように、これからも競争力のあるチームだと思う」

そして、リラードとともにこの『チームの顔』であるCJ・マッカラムもチームに戻って来た。彼がこのオフに置かれた立場は決して心地良いものではなかった。リラードに対しては「彼に残ってもらうために良いチームを作らなければ」という論調だった一方で、マッカラムは「彼をトレードに出してリラードを満足させるチームを作ろう」という扱い。マッカラムにもNBAキャリア8年の実績とプライドがあり、気分を害してもおかしくはない。それでも彼は晴れやかな表情でシーズン始動の日を迎えた。

「僕のことを好きなファンもいれば、そうでないファンもいる。僕のことが好きだけど、チームのためにはトレードすべきだと思う人もいるだろうね。でも、これはプロ選手に付いて回るビジネスだ。誰でも自分の思うように意見を言う権利があるし、それはファンがチームに情熱を注いでいる証拠でもある。僕だってブラウンズのファンとして、その類の話で友達と盛り上がったことがないわけじゃない」

『ブラウンズ』とは、NFLのクリーブランド・ブラウンズのこと。オハイオ州カントンで生まれ育ったマッカラムの贔屓チームだ。ただ、自分がトレードの噂の的になっても彼が動揺せずにいられるのは、ブラウンズについてああだこうだと言った経験があるからではなく、彼自身の知性、そしてNBA選手会の新たな会長としてスポーツビジネスを俯瞰して見る経験があるからだろう。

「僕の望みはここでキャリアを続けていくことだ」とマッカラムは言う。

チャウンシー・ビラップスが新ヘッドコーチに就任したことで、リラードとマッカラムに求められるプレーも変わることになりそうだ。テリー・ストッツはこれまで彼らにオフェンスを託す分、ディフェンスの負担を減らしていたが、ビラップスはこのバランスを変えると明言している。2人のディフェンスの責任を増やし、シュート数を減らしてチームで得点を取るのが新しいブレイザーズのバスケになる。

これをどう受け入れるかと質問されたマッカラムは、穏やかな表情のまま、それでも確固たる意志を込めた口調でこう語った。「僕はコーチからどんなプレーを要求されても応えてみせる。チャウンシーのことは長く知っているし、彼にもスタッフにもそのことは伝えた。僕にとっては新たな成長の機会だと思うし、新たなチャレンジを楽しみにしている。僕はチームの中でキャリアのある選手だし、良い年俸ももらっている。きっちり結果を出すことで、それに値する選手だと証明してみせるよ」

トレードの噂にプライドを傷付けられて怒ったりふさぎ込んだりするのではなく、自分のプライドに懸けて良いパフォーマンスを見せることを誓う。これがCJ・マッカラムのプライドだ。