「あの瞬間は少し気が散ってしまうんだ」
優勝3回、シーズンMVP受賞2回を誇るウォリアーズのステフィン・カリーでも、NBAのコートに立てば緊張する瞬間がある。
難易度の高い3ポイントシュートを次々と決め続ける彼が集中力を切らしてしまう瞬間は、意外にもフリースローラインに立つ場面だという。カリーは現役選手の中でもフリースロー成功率が抜群に高い選手で、現時点でのキャリア成功率は歴代1位の90.7%だ。
それでもフリースローで緊張してしまう理由を『Golf Channel』に語っている。職業であるバスケットボールと趣味のゴルフの共通点について聞かれたカリーは、ティーショットとフリースローを挙げ、次のように答えた。
「フリースローラインに立つ時は緊張するよ。それまで大きな声を出していた1万9000人の大観衆が、急に黙って静かになる。あの瞬間は少し気が散ってしまうんだ。ゴルフの場合は最初のホールのティーに向かう時から歓声が上がって、スイングの練習をしている時までギャラリーの声が聞こえて、そして突然静かになる。選手のアドレナリンがどういう状態なのか想像もつかない。そんな中でティーショットをフェアウェイに飛ばせたら、選手は最高だろうね」
満員の観客がまるで号令をかけられたかのように静まる瞬間は、確かに異様と言える。軽々と決めているようでもフリースローは勝敗を分ける重要なプレーの一つで、否が応でも緊張感は増す。フリースローラインに立ち、構えるまでのルーティンをこなしながら集中力を高め、ボールを投じる。静寂の中、スウィッシュした音だけがコートに響き渡るのは、NBA選手しか味わえない快感だ。