山本麻衣

「信じてくれることに感謝しながら、思い切ったプレーができるように」

山本麻衣は3人制バスケ『3×3』の日本代表として東京オリンピックに参加。身長163cmと小柄ながら3×3の激しいコンタクトプレーに一歩も引かず、その抜群のシュート力を世界の舞台で示した。彼女の次なる舞台は5人制の日本代表で、今月末に開幕するアジアカップで大会5連覇を狙う。昨日、会見を行った山本は「今まで先輩方が4連覇という成績を残してくれているので、それに続けるように金メダルを取りたい。個人的には小さい選手なりにできることがあると証明したい」と抱負を語った。

「合宿の最初の頃は恩塚(亨)コーチのバスケが初めてで迷いながらやっていたけど、2次合宿になってあまり考えなくてもスムーズにやれるようになって手応えは感じています」と彼女は言う。「ピックを使ってズレを作って、そこからみんなにボールを渡してオフェンスを組み立てるのが自分の役割なので、そこをしっかりやっていきたい」

今の代表チームにおけるポイントガードは宮崎早織と永田萌絵、山本の3人。「宮崎さんはスピードでプッシュしていくタイプで、チームのリズムを作るガード。永田さんは得点力が発揮できれば強みになる。自分はゲームコントロールとディフェンスを武器にやっていきたい」と、自分なりの色を出してプレーするつもりだ。

もちろん、3×3と同様に得点力も発揮してもらいたいところ。「恩塚コーチからは自分の強みを生かしてほしいと言われていて、それでシュートチャンスは思い切って狙うこと、まずはシュートからと思って試合に入るようにしています」

世界の強豪を次々と撃破して銀メダルを獲得した東京オリンピックのチームでは、町田瑠唯が先発ポイントガードを務めた。その町田について山本は「本当に切り替えが早い、あとはパスのセンスがカッコ良すぎて五輪中は見とれていました」と語り、それを自分の成長へと繋げようとしている。「町田選手のようにパスが上手くないので、そこをもっとレベルアップして視野を広げていきたい。自分は得点力があるガードだと思うので、積極的にシュートを狙いながら周りを生かすことを今後できたらなと思います」

多くのトップ選手を輩出する桜花学園出身選手の中でも、特別な才能の持ち主である山本だが、2018年に加入したトヨタ自動車アンテロープスではいまだメインのポイントガードではなく、日本代表でのチャンスも巡ってきていない。その停滞する流れを断ち切ったのが3×3日本代表での活躍だった。そして今、5人制でも自分の力をアピールする大きなチャンスがやって来たことを、山本も自覚している。

「自分のチームであまりプレータイムをもらえなかった、自分の調子が上がらなかったのが昨シーズンで、その中でも自分のやれることを研究して、シュートもいろいろ変えました。ワンハンドに挑戦して遠回りしたんですけど、それは結構良い経験になって今のツーハンドにも生かされていると思います。そういう経験を我慢して乗り越えたから、今こうやって選んでもらって自分のプレーが表現できる。そこは恩塚コーチに感謝したいですし、信じてプレータイムを与えてくれることに感謝しながら、思い切ったプレーができればと思っています」

3×3での活躍は見事だったが、その力は5人制にも生かすことができるはず。今回のアジアカップでさらなる飛躍を遂げてほしい。