セクー・ドゥムブヤ

ごっそりと戦力を入れ替えたピストンズは、カニングハムを軸に再出発

ピストンズは20勝52敗と苦しいシーズンを送ったものの、ドラフト1位指名権でケイド・カニングハムを手に入れました。昨年のドラフトではキリアン・ヘイズ、サディック・ベイ、アイザイア・スチュワートを1巡目で指名しており、ジェレミ・グラントやケリー・オリニクをフリーエージェントで加入させるなど、若手と中堅をミックスさせた再建で前に進もうとしています。

そんな中、ネッツとのトレードでディアンドレ・ジョーダンと4つのドラフト2巡目指名権を手に入れました。ジョーダンとはバイアウトを予定しているようで、サラリー負担を受け入れる代わりに将来への小さな布石を打った形ですが、衝撃だったのは2019年ドラフト15位のセクー・ドゥムブヤの放出でした。結果を出せていなかったとはいえ、ルーキー時代はピストンズの将来を担うと言われた『超素材型』の選手を、わずか2年で見限ったことになります。

ドゥムブヤが指名された時のピストンズはアンドレ・ドラモンドとブレイク・グリフィンを中心としてプレーオフを狙うチームでした。そこに若手のルーク・ケナードやブルース・ブラウンがスターターとして加わり、ベンチからブレイク前のクリスチャン・ウッドやドゥムブヤが出てくるロスター構成は、勝利を求めつつも大きな伸びしろを秘めていました。しかしケガ人が多く、早々にプレーオフ争いから脱落すると、シーズン中にドラモンドを放出して再建に切り替えます。

オフになるとトロイ・ウィーバーを新たなGMに迎えて、ここから一気にロスター改革に動き出します。わずか1年の間に積極的なトレードを展開し、今回のドゥムブヤ放出により、当時の所属メンバーは全員がいなくなりました。しかも、トレードが決まらずバイアウトになったグリフィンだけでなく、ブラウンやドゥムブヤもほとんど対価のないトレードを実行しており、ウィーバーが『自分が選んだ選手だけのチームにする』ことを最優先したような動きでした。

新シーズンのピストンズは総サラリーの3分の1がバイアウトした選手のサラリーになります。そこまでしてでもウィーバー好みの選手だけを集めたわけで、カニングハムを中心としたチーム作りを成功させることは至上命題となります。即座にプレーオフレベルとは言わないものの、ブラウンやドゥムブヤを手放しただけの価値を示す必要があります。

ビジネス的な側面が強いNBAですが、同時にフロントにおけるキーマンの方針によって劇的な変化を遂げるリーグでもあります。大きな期待を背負っていた若手有望株でさえも、あっという間に立場が変わることを示すピストンズのトレードとなりました。

一方でドラフト15位という高順位にもかかわらず、早々に見限られたドゥムブヤはベテランの多いネッツでロールプレイヤーとして自らの価値を再度認めさせたいところです。フィールドゴール成功率が40%を下回り、スキルや判断能力の低さが課題になっていますが、スーパースター揃いのネッツではボールを持ってプレーすることが少なく、ディフェンスを中心としたハードワークといった身体能力の高さを示せるチャンスでもあります。

サマーリーグではセンターを務めるなど、適性のあるポジションすら定まっていないドゥムブヤがプレーオフの戦力になるには相当なレベルアップが必要ですが、ベテランが多い中でドゥムブヤのエネルギーはシーズンを戦うには貴重なパワーにもなり得ます。まだ20歳と若いだけに、自分の役割を見つけてそれに集中すれば大化けする可能性を秘めています。