内藤英俊

全中(全国中学校バスケットボール大会)の男子は大会最終日にベスト4のうち2チームが新型コロナウイルスの影響で棄権を余儀なくされ、残る2チームも決勝を辞退。大会本部は準決勝と決勝を行わないまま4チームの優勝とする判定を下した。優勝候補の一角だった西福岡では、エースの内藤英俊が準々決勝で石川県の布水中を相手に55得点17リバウンドと驚異的なスタッツを残す絶好調ぶり。大会の主役を最後まで演じることはできなかった内藤の心中はいかなるものか、福岡に戻った彼に話を聞いた。

準々決勝では布水中を相手に55得点17リバウンドと異次元の活躍

──様々な出来事があった全中、お疲れ様でした。まずは内藤選手の自己紹介をお願いします。

はじめまして、内藤英俊です。福間南小学校のミニバスで全国大会に出て、KAGOスクールでもプレーしていました。西福岡中学校では1年生ではメンバーに入っていなかったのですが、2年から試合に出るようになって、3年生の今年は全中に出場しました。(西福岡REBIRTHの一員として)Jr.ウインターカップにも出ています。全中は去年に大会がなかったので、その分までしっかり頑張ろうという気持ちでやりました。

西福岡中は鶴我隆博先生が3月で定年退職になって、先生がいなくなったので勝てないと言われていたと思うんですけど、練習から自分たちで話し合ってしっかりやりました。練習では鶴我先生がいた時と同じメニューをやって、試合でも先生が言っていたことをみんな意識してやっていました。いつもの年に比べて身長が小さいチームなので、ディフェンスをやって速攻を出すことです。先生がいない分、自分たちで勝つという気持ちが出せたと思います。それでしっかり戦えて勝てたので良かったです。

──内藤選手が大活躍して、結果として優勝した全中を振り返ってください。

1試合目はしっかり勝ったけど、2試合目は途中で逆転されました。それでも自分たちでしっかり話し合って冷静になって、そこから勝つことができました。自分ではパスをしてチームを勢いに乗せたいんですけど、周りの調子が上がってこない時には自分で行って点数を取ろうと思っていました。

準々決勝では負けていて逆転しなきゃいけなくて、ドライブを中心にしながらたまにアウトサイドをまじえて攻めました。思い切って攻めたドライブを何本かしっかり決めることができたのが良かったと思います。

──最終日の準決勝と決勝は中止になりました。あの日、どんな心境だったのかを教えてください。

前日の夜は「明日2つ勝って優勝しよう」としか思っていなかったのですが、会場に着いたら試合がなくなっていて、すごく悔しかったです。それでも去年の3年生は全国大会に出ることもできなかったので、自分たちはプレーできたことに感謝したいという気持ちになりました。結果として優勝できたのは良かったですが、準決勝で本山南とやりたかったという気持ちはあります。

それでも顧問の先生はコロナで大変な中でもずっと練習を見てくれてアドバイスをしてくれて、やりやすい環境を作ってくれたのですごく感謝しています。チームメートは自分が悪い時にしっかり指摘してくれて、僕も誰かが悪い時にはちゃんと言うようにしていたんですけど、そうやってチームをどんどん盛り上げて良い環境が作れたのが良かったと思います。親も食事の用意や病院に連れていってくれたり、いろんな形で支えてくれたので、すごく感謝しています。

内藤英俊

「将来の目標はNBA選手、人から尊敬される選手、応援してもらえる選手に」

──ポイントガードをやっている理由は、将来のことを考えてですか?

ハンドリングがちょっとできたので、たまたまポイントガードになった感じです。大きいけどポイントガードをやるのは良いことだと思っています。得意なプレーはアタックからのレイアップとフローターで、お手本にしているのはカイリー・アービングなので。

──お兄さんが西福岡中でプレーして、今はアメリカのIMGに留学しています。西福岡に行ったのはお兄さんの影響ですか?

お兄ちゃんの影響はありました。小6の時から、お兄ちゃんができるなら自分もできるって謎の自信はありました。それで鶴我先生にしっかりバスケを教えてもらえて良かったです。先生がいなくなった今年はちょっとサボれるようになったんですけど(笑)、それでも自分たちでしっかり練習してきました。

(兄の英真が口を挟む)生意気な弟ですけど、世代ではずっと一番でやっているので、口だけではないです一応。でも、環境が変わって周りのレベルが自分より上になった時にどう対応できるかだと思います。その経験がまだないので。

──西福岡中でやりながら、国体など別のチームでプレーする機会もあります。

自分のチームが一番やりやすいですけど、他のチームで出た時にはそのメンバーで自分に何ができるのかしっかり考えてプレーするようにしています。

──中学としての大会は全中で終わりましたが、これからはライジングゼファーフクオカのU15に参加すると聞きました。

鶴我先生の指導を受けたくて、行くことにしました。Jr.ウインターカップで優勝するのが目標です。ライジングでも優勝できるようにまた頑張ります。

──その先の進路はどう考えていますか?

お兄ちゃんと同じ海外志望で、IMGに行きたいと思っています。お兄ちゃんがいるから少し行きやすいのかなとは思っています。日本の高校に行くことは考えていません。

──将来はどんなプレーヤーになりたいですか?

将来の目標はNBAでプレーすることです。そして人から尊敬される選手、応援してもらえる選手になれるように人間力を磨いていきたいです。応援よろしくお願いします。