ジェイソン・テイタム

コロナ禍のオリンピックは「僕みたいに初参加の選手にとっては特に残念」

アメリカ代表はフランスとの初戦を落としたものの、イランとチェコに2勝を挙げて決勝トーナメント進出を決めた。昨夜のチェコ戦は第1クォーターこそ攻守が噛み合わず18-25と相手の先行を許したものの、ケビン・デュラントがオフェンスを勢いに乗せて前半のうちに逆転に成功。そして後半に一気にチェコを突き放したのは、ジェイソン・テイタムの働きが大きい。デュラントは23得点を挙げて、カーメロ・アンソニーが持っていたアメリカ代表のオリンピック得点記録を更新した。テイタムは5本の3ポイントシュート成功を含む、ゲームハイの27得点を挙げている。

フランス戦では24分出場で9得点、イラン戦では17分出場で14得点だったテイタムは、この試合でついに爆発した。ここまでチームもテイタムも少々不完全燃焼だったが、「自信は全く失っていなかったよ」と彼は語る。

「代表に来れば全く新しいバスケをやる必要がある。役割は違うし、また別のチームルールを学ばなきゃいけない。国際試合となればタイムアウトの取り方もファウルの基準も違う。全く別のバスケだと感じる。でも、バスケであることに変わりはないのも事実だよね。リムにボールを入れる競技なのは同じだから(笑)。全員揃って練習する期間が取れず、その点では大変なチャレンジになった。でも、僕らは日々向上しようと努力し続けているし、練習をするたびに、試合をするたびに、一緒に過ごす時間が長くなるにつれて、実際にチームは良くなっている。この先も同じことが起きるはずで、次は今日よりもっと良いチームになれるよ」

このチェコ戦、テイタムは27得点のうち21得点を後半に奪っている。これについて「前半は拮抗していたから、まずはディフェンスで相手を止めて、そこからトランジションに持ち込み、パスを出すことでみんなにプレーしてもらおうと思った」と彼は説明したが、ボールムーブが良くなったことで、自然とテイタムにチャンスが回ってくるようになった。

彼はパス優先を意識でプレーしていても、チャンスが来れば迷わずアタックに行き、チーム最多の16本のシュートを放った。「難しくはないよ。右にも左にも能力のある選手がいるから、普段よりもプレッシャーは少ない」と彼は笑う。

「普段と違うことは多いけど、それは最初から分かっていたこと。世界最高の選手たちと一緒に練習し、試合を戦うことは、僕をより高いレベルへと導いてくれる。それは自分のバスケットを高めることになるし、次のシーズンに向けた準備にもなる」

チームUSAの一員としてオリンピックを戦うことに大きな意義を見い出しているテイタムは、自分が活躍してチームが勝ち、決勝トーナメント進出を決めたこともあって気分が良さそうだ。ただ、一つ残念なこととして彼が語ったのは、コロナ禍での大会であること。前日、女子アメリカ代表の試合を彼らはスタンドから観戦していたが、その行動は大幅に制限されている。その点は彼にとって期待していたものとは異なる。

「残念だよ。僕みたいにオリンピック初参加の選手にとっては特にね。違う競技の応援に行ったりして、オリンピックという場所を楽しめたら良かったと思う。だけど、今は仕方ない。次の機会にも参加して、その時には今回と違う経験をしてみたい」