ラウリー・マルッカネン

写真=Getty Images

マケイン元議員の一声により、学生ビザ取得がスムーズに

アメリカ上院議員を6期勤め上げ、共和党の大統領候補にもなったジョン・マケイン元議員が脳腫瘍のため81歳で他界した翌日、ブルズのラウリー・マルッカネンがTwitterに哀悼の意を捧
げるメッセージを投稿した。

ヘルシンキ・バスケットボールアカデミーの男子チームに所属していたマルッカネンは、2016年にアリゾナ大学に進学したのだが、当時フィンランドのアメリカ大使館で学生ビザを取得する手続きが進まず困り果て、アリゾナ州選出のマケイン元議員に陳情した。

マケイン元議員は、後に『ESPN』とのインタビューで「彼のビザ取得に関する手続きが遅れていた。学生ビザが必要だったのだが、フィンランドで学生だったのかどうか、という疑問が生じていたんだ。大変な問題だったと言いたいところだが、間に入り、『手続きを進めてみたらどうかな』と話してみた。そうしたら、思っていたほど大変な問題にならずに済んだ」と、当時の事情を明かした。

マケイン元議員の取り計らいにより、マルッカネンは無事にビザを取得し、アリゾナ大学に進学。1年生のシーズンに平均15.6得点、7.2リバウンド、フィールドゴール成功率49.2%、3ポイントシュート成功率42.3%という成績を残し、2017年のドラフト全体7位でティンバーウルブズから指名され、その後ブルズにトレードされた。

NBA1年目から先発に定着すると、平均15.2得点、7.5リバウンド、1.2アシスト、フィールドゴール成功率43.4%、3ポイントシュート成功率36.2%を記録し、オールルーキー・ファーストチームに選出された。また、NBA史上最速となるキャリア41試合目で通算3ポイントシュート成功数100本に到達するという快挙も成し遂げている。

マルッカネンとのエピソードを語ったインタビューで、マケイン元議員はこんなジョークも付け加えた。

「ラウリー・マルッカネンは素晴らしい。政治家というのは、称賛されるのを好む。彼はビザにかかわる問題を抱えていた。それで陳情するために私のオフィスにやって来た。つまり、彼が今後成功を収められたら、それは私の功績ということ」

自分の才能を生かしてNBA選手になるという夢を叶えたマルッカネンだが、マケイン元議員の力がなかったら、アメリカに来る時期が遅れていたかもしれない。亡き恩人への感謝の気持ちを忘れず、マルッカネンは2年目のシーズンに挑む。