写真=Getty Images
スパーズ 2015-16シーズン成績
67勝15敗 西カンファレンス2位/プレーオフ準決勝敗退
フィールドゴール率48.4%(リーグ2位)
3ポイントシュート成功率37.5%(リーグ2位)
1試合平均得点103.5(リーグ10位)
1試合平均リバウンド43.9(リーグ15位)

新たな「チームの顔」となるレナードの進化に期待

スパーズの2015-16シーズンを二文字で表すなら『不運』が適当だろう。

球団史上最多の年間勝利数、NBA史上最多タイのホーム戦績(40勝1敗)という成績を残したにもかかわらず、レギュラーシーズンでは年間最多勝利記録を20年ぶりに更新したウォリアーズに主役の座を奪われ、プレーオフでは勢いという武器をまとったサンダーに敗れた。

ウォリアーズの連覇を唯一阻むことができる存在と言われ、2勝1敗とリードして迎えた西カンファレンス準決勝の第4戦からまさかの3連敗を喫し、スパーズの昨シーズンは、唐突に終わりを告げた。「カンファレンス決勝にすら勝ち進めなかった」という結果だけ見れば、到底満足のできないシーズンだったと言わざるを得ない。

シーズンオフには、1990年代後半からチームの象徴だったティム・ダンカンが現役引退を表明。ついに、新時代の扉が開かれることとなった。

新たにチームの顔となるのは、6年目のクワイ・レナードだ。名将グレッグ・ポポビッチも認める実力者レナードは、昨シーズン自己初の1試合平均20得点超えを記録した他、2シーズン連続して最優秀守備選手賞に輝くなど、今最も脂がのった選手の一人。デュオ結成2年目となるラマーカス・オルドリッジとの連携が、新シーズンさらに向上するのは間違いない。

ダンカンが抜けた穴を埋めるためエリートプレーヤーのパウ・ガソルが加わり、フロントコートの厚みはさらに増した。また、2014-15シーズンのウォリアーズ優勝メンバーで得点力に秀でるデビッド・リーを獲得。34歳になった先発ポイントガードのトニー・パーカーの後継者候補として、鋭いドリブルが武器のデジョンテ・マレーを今年のドラフトで指名した。

全体29位で指名されたデジョンテ・マレー。パーカーの後継者として今後の成長が期待される。

抜け目なく世代交代を進めるポポビッチ

ダンカンはコートを去った。15年目のマヌ・ジノビリも今シーズン限りでの引退をほのめかしているだけに、パーカーとのデュオも見納めになる可能性が高い。それでもチームの土台となる競争力を維持しながら数年先を見据えたプランを実行しており、ポポビッチのチームには抜け目がない。

近年はダンカン、パーカー、ジノビリのビッグスリー体制から脱却すべく、数年前からレナードを中心としたチームへの方針転換を進めているだけに、新チームは問題なく船出を迎えられるはずだ。オールラウンダーのボリス・ディーオウ、いぶし銀のデイビッド・ウェストがチームを離れたことで守備力は若干ダウンするかもしれないが、ガソルの加入により得点力アップが見込める。

総合力では西のトップクラスを維持することに成功し、今シーズンも年間60勝は狙えるチームに仕上がっている。ここ数年の西カンファレンスはウォリアーズ、スパーズ、サンダーの3強体制が続いたが、ケビン・デュラントの移籍により、2強時代へと移行する可能性もある。

適材適所で選手の能力を最大限に引き出すポポビッチが見据えるのは、球団史上6回目の優勝だけだ。

常勝軍団の礎を築いたビッグ3。ダンカンが引退し、新たな時代の変遷を迎える。

2016-17シーズン スパーズ予想ロスター
[PG]
トニー・パーカー、パトリック・ミルズ、デジョンテ・マレー
[SG]
ダニー・グリーン、エマニュエル・ジノビリ、ジョナサン・シモンズ
[SF]
クワイ・レナード、カイル・アンダーソン、リビオ・ジャン・チャールズ
[PF]
ラマーカス・オルドリッジ、デビッド・リー
[C]
パウ・ガソル、ドウェイン・デッドモン