八村塁

約19分間のプレータイムで24得点と圧巻のパフォーマンス

7月16日、バスケットボール男子日本代表はベルギー代表と国際強化試合を行い87-59で快勝した。7月9日の対戦で70−73で敗れた相手に雪辱を果たした立役者となったのは、この試合が2019年ワールドカップ以来となる代表戦となった八村塁だ。

前回のベルギー戦、日本は第1クォーターで9-25と大きく出遅れたのが敗因となったが、この試合では八村が第1クォーター開始4分で9得点と牽引したことで15-4と先手を取った。これでリズムに乗った日本は第1クォーターで30-11と真逆の展開に持ち込み、その後も大量リードをキープする余裕の勝利を挙げた。

約19分の出場で24得点6リバウンドと、格の違いを見せつけた八村は試合をこう振り返る。「ディフェンスの部分で第1クォーターは11点しかやられなくて、良い出だしでした。第2クォーターは少し追い上げられましたが、そこから後半の出だしも良くて第3クォーターは相手に10点しか与えず、良い感じでディフェンスができていたと思います」

ディフェンスを勝因に挙げた八村だが、オリンピック本番でアルゼンチン、スペイン、スロベニアと世界の列強から白星をつかみとるためには、まだまだ物足りないことも自覚している。「ディフェンスで甘いところがありました。そこはチームでしっかりやらないといけないと思います。」

八村にとってこの試合は、NBAプレーオフのファーストラウンド第5戦でセブンティシクサーズに敗れた6月3日以来の実戦だった。1カ月以上のブランクはあったが、「シュートタッチもそうですし、感触的には悪くなかったと思います。オリンピックもすぐ始まるので、しっかりとコンディションを整えたい」と、不安を感じることはない。

それは約2年ぶりの合流となった代表での連携についても同じだ。今のチームは2019年のワールドカップで主力を担っていた篠山竜青、ニック・ファジーカスなど少なくないメンバーの入れ替わりがあるが、特に心配はしていない。「年齢が近い選手が多く、今までプレーしたことのある知っている人が何人もいるので問題はないです」

八村塁

久しぶりの合流も連携面に不安なし「結構噛み合っていた」

もちろん合流したばかりで「もっと練習、試合をしていかないと分からないところはあります」とさらなる改善が必要であることは承知している。ただ、2年ぶりに代表に合流し、直後の実戦だったことを考えれば「今日も試合で結構噛み合っていたので、そこが良かった」と、好感触を得られる内容だった。

日本にとってオリンピックを前に最後の実戦となるのは18日のフランス戦となる。2019年のワールドカップでは、日本が45-98と大敗したアメリカを準々決勝で89-79で撃破し銅メダルを獲得した強国だ。東京オリンピックでもルディ・ゴベア、ニコラ・バトゥーム、エバン・フォーニエなどNBA選手5名を擁するメダル候補で、これまでの強化試合のように八村、渡邊雄太の個で打開するのは難しい。だが、それ故に質の高いチームバスケットを遂行するための課題を見つけるのに最適の相手だ。

「バスケの世界大会では一番大きい大会にあたると思うオリンピックでプレーできることをすごく感謝していますし、うれしいです。相手は本当に強豪国ばかりですが、すごく楽しみです」

強化試合は内容が何よりも問われるが、格上から勝利できれば確かな自信を得られる。オリンピックへの意気込みをこう語る八村が難敵フランスを相手に、ベルギー戦のような存在感を発揮できれば、日本代表は大きな勢いを得て本番に臨むことができる。