コービー・ブライアント

写真=Getty Images

「バスケ以外のこともやれると証明する」

レイカーズのレジェンド、コービー・ブライアントは8月23日に40歳の誕生日を迎えた。2016年に現役を引退した後は映像制作の分野で力を発揮し、2017年に公開した『Dear Basketball』というアニメーションは、アカデミー賞短編アニメ賞、アニー賞短編作品賞、そしてスポーツエミー賞を受賞する快挙を成し遂げた。受賞作は、2015年に引退を表明した際に綴った文章を、コービーがアニメーション監督グレン・キーンと映像化したものだ。

引退後も輝かしい実績を残しているコービーの周辺では、最近になって現役復帰の噂もちらほら聞かれるようになった。レブロン・ジェームズがレイカーズに移籍したことで、コービーが引退を撤回して再びコートに立つのではとも言われているが、本人はその可能性を完全に否定する。

ジャーナリストのリッチ・エイセンとのインタビューを受けたコービーは「自分が復帰することは絶対にない。可能性はゼロパーセント」と断言。プロアスリート全員が経験する引退後の苦悩についても触れつつ、その理由を次のように話した。

「プロアスリートが引退後に苦しむことは、これまで情熱を注いでいたことと同じように取り組めるものを見つけられるかどうか。それがアスリートにとってのチャレンジでもある。アスリートは、つまるところ一つのことしかできないという枠にはめられてしまっている。その結果として現役復帰するしか道はないと思われているけれど、僕はそれを自分にとってのチャレンジと受け止めた。周りが思う僕は、ドリブル、シュート、バスケットボールのことしか知らない人間。僕はそれを自分への試練と受け止めて、絶対に復帰しないと決めた」

「周りに、バスケットボール以外のこともやれると証明しようとしているところなんだ。自分のビジネスを立ち上げて、オスカー、エミー賞、アニー賞を受賞した。これから引退するアスリートに、『競技以外にもやれることはたくさんあるんだぞ』というのを示せていると思う。だから絶対に復帰しないし、考えてもいない」

コートを離れても戦い続けるコービーは、現役時代と同じ姿勢でセカンドキャリアを積んでいる。選手として再びコートに立つことはないが、彼は歩みを止めず、これからも邁進し続ける。