ホークスはカンファレンスファイナルで敗れるも想定外の躍進、若手にチームの中心を託して『日々成長』する充実の1年に

ホークスはカンファレンスファイナルで敗れるも想定外の躍進、若手にチームの中心を託して『日々成長』する充実の1年に

2021/07/05 12:00
トレイ・ヤング

トレイ・ヤングは初のプレーオフで28.8得点、9.5アシストを記録

第3戦でケガをしたトレイ・ヤングが復帰したものの、キレのあるドライブもなければ、3ポイントシュートは6本すべてを外すなどケガの影響は明らかでした。ホークスはカンファレンスファイナル第6戦で力尽きましたが、それでも3年目のヤングを中心とした若いチームがここまで勝ち進むのはシーズン前には予想もつかない結果であり、ホークスには明るい未来が待っています。

勝てない状況にヤングが腹を立て、ジョン・コリンズとは契約延長に合意することができず、シーズン前のホークスは微妙な状況に置かれていました。過去2年は結果よりも『若手の育成』に力を注いできましたが、同じことを繰り返せばチームが崩壊する可能性もありました。そこで昨シーズン途中に獲得していたクリント・カペラに加え、フリーエージェントのボグダン・ボグダノビッチやダニーロ・ガリナリと契約し、シーズン途中にはトレードでルー・ウィリアムスを獲得しました。他にもディフェンス力のあるベテランを中心とした補強によって、ホークスはリーグでも有数の分厚い選手層を誇るチームに変貌し、『勝ちに行くシーズン』と位置づけられました。

ただホークスが譲らなかったのは『チームの中心は若手たち』ということでした。近年の再建チームのトレンドは、若手中心にある程度の成果を残したところで、トレードを駆使して外からスーパースターを連れてくる形ですが、ホークスは若手を放出することなく、各ポジションに脇を固める実力者を補強してきました。結果を求めながらヤングやコリンズを継続的に成長させる方針は、確実性を欠く危うさもありましたが、プレーオフでは上位シードとの差を『成長』で埋めていきました。

敵地で迎えたニックスとのプレーオフ初戦で決勝シュートを決めたヤングは、たった1試合でニューヨークのファンからブーイングを受ける『敵役』に成り上がりました。プレーオフの緊張など関係なく試合を支配したヤングは、ディフェンスをあざ笑うかのように逆を取るプレーを展開し、常に強気な姿勢でチームを引っ張り続けました。初めてのプレーオフながら28.8得点、9.5アシストを記録し、自身がスーパースターであることを世界中に知らしめました。

一方で相棒のコリンズは高確率で押し込むオフェンスだけでなく、弱点とされていたディフェンスでも勝利に貢献しました。シーズン中はフィールドゴール成功率62%と苦手にしていたジュリアス・ランドルを、プレーオフでは24%に抑え込み、プレーオフ当初からマンマークでの『成長』を見せ付けました。さらにセブンティシクサーズとのシリーズでは1試合でベン・シモンズとジョエル・エンビード双方からオフェンスファウルを引き出すなど、プレーオフ最多の5つのチャージドローも記録し、ヘルプディフェンスでも結果を残しています。

ヤングに疲れが見え始めたシクサーズとの『GAME7』を制したのは、27得点を奪ったケビン・ハーターでした。プレーオフ序盤は及第点レベルのプレーでしたが、試合をこなしていくことでヤングに頼らないプレーメークを見せるようになり、非凡なシュート力と勝負強さを感じさせました。

さらにバックスとのカンファレンスファイナルではケガで2月以降欠場していたキャム・レディッシュが復帰し、クリス・ミドルトンを激しいディフェンスで追い込んでボールを奪うと、次々と3ポイントシュートを決め、第6戦では21得点を記録しました。プレーオフ序盤はガチガチに緊張していたルーキーのオニエカ・オコングも、反応速度を生かしたリバウンドと確実なフローターで攻守に貢献するようになりました。堅実なベテランたちに支えられる中で、若手が1試合毎に成長していくのが印象的なプレーオフとなったのです。

今シーズンのプレーオフは若手の活躍が目立ちますが、ホークスの輝きは別格でした。プレーオフ1試合の経験値は、レギュラーシーズンとは比べ物にならないほど大きく、それを18試合も戦ったことで、より多くの『成長』がありました。結果を求めなければこれだけの経験は詰めず、結果を求めてスーパースターを連れて来ていたらこの成長は見られなかったでしょう。

一方で課題も見えてきました。プレーオフ1回戦であればヤングとコリンズを中心とした形で勝てても、ファイナルまでの長丁場では消耗も激しく、ヤングに頼りすぎるスタイルでは通じないことです。レディッシュやオコング、そしてケガで2試合しか出場できなかったディアンドレ・ハンターの可能性を来シーズンはさらに伸ばしていく必要があります。

4年目が終わったコリンズは再契約となりサラリーも急騰することが予想されます。その後も若手の契約更新が続き、現在の層の厚さをキープするのは難しくなるため、それまでに若手だけで勝ち切れるところまで成長している必要がありますが、今回のプレーオフを見ると心配する必要はなさそうです。多くの選手が日々成長していく過程を楽しめる、素晴らしいプレーオフでした。

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