ペニー・ハーダウェイ

現在は母校のメンフィス大で、選手育成の手腕を振るう

マジックは今シーズンを21勝51敗で終えた。勝率が3割を切ったのは過去7シーズンで初のこと。ケガ人が多く成績が伸びない中で、トレードデッドラインにニコラ・ブーチェビッチとアーロン・ゴードン、エバン・フォーニエ、アル・ファルーク・アミヌを一挙に放出し、再建へと舵を切った。シーズン終了後には指揮官のスティーブ・クロフォードの退任を発表している。

後任のヘッドコーチに求められるのは、才能ある若手にプロ意識を植え付けて正しい方向へと導くこと。その後任候補に、ペニー・ハーダウェイの名前が挙がっている。

ハーダウェイは現在49歳。メンフィス大学のヘッドコーチを務めているが、マジックのスタープレーヤーの印象が今も強い。1993年のNBAドラフトで3位指名を受け、その当日のトレードでマジックでプロキャリアをスタートさせた。マジック・ジョンソンを彷彿とさせる長身ガードで、高いハンドリング技術とアシスト能力がありながら身体能力も高く、豪快なダンクもできることで人気が高く、オールスターに4度選ばれ、オールNBAファーストチームにも2度選出されている。当時のマジックはシャキール・オニールとの豪快かつ華のあるコンビが『チームの顔』で、1994-95シーズンにはNBAファイナル進出も果たしている。

キャリア中盤からはケガに泣いたが、今でもマジックファンからは愛される存在。その彼は2018年から地元であり母校のメンフィス大のヘッドコーチを務めており、選手育成で高い評価を得るとともに今年はナショナル・インビテーション・トーナメント(NIT)優勝と結果も出している。

クリフォード退任の時点でハーダウェイの名前は挙がっていたが、その時はオールドファンが昔を懐かしむような雰囲気だった。それでも『The Athletic』は、ここに来てハーダウェイが有力候補へと浮上したと報じている。再建に舵を切ったばかりのマジックでは、ハーダウェイの若手育成の手腕だけでなく、しばらくは苦戦を強いられるであろうチームをファンが我慢して見守るためのカギにもなる。

選手として成し遂げることができなかったNBA優勝に、ハーダウェイが指導者としてチームを育て、再び挑む。そのロマンを共有できるとしたら、ファンも彼のチーム作りを支持するだろう。NBAでの指導者経験がないのはネックだが、マジックは果たしてどんな決断を下すのだろうか。