安藤周人

イランのフィジカルと高さに負けず、出場した全選手が持ち味を発揮

東京オリンピックに向けたチーム作りを進めるバスケットボール日本代表は、フィリピンで行われたアジアカップ予選を終えて帰国し、今週はイラン代表と3度対戦する。

その初戦となった昨日、日本の先発は田中大貴、比江島慎、金丸晃輔、渡邉飛勇、ライアン・ロシター。富樫勇樹がベンチエントリーから外れて、メインのポイントガードを務めたのは田中大貴だった。本職のポイントガードではない田中だが、試合のペースをコントロールしながら全員にパスを供給することでチームをリズムに乗せ、及第点以上のプレーメークを見せる。サイズがあってフィジカルも強いイランに対し、帰化選手のロシターとギャビン・エドワーズが交互に出るとともに、渡邉とシェーファー・アヴィ幸樹が力強いプレーを続けることで、インサイドでも互角に渡り合った。

安藤周人の3ポイントシュート、速い攻めで優位を作るエドワーズなどの働きで流れを引き寄せ、第2クォーターを28-17とした日本が、46-32とリードして前半を終える。

後半に入って高さと強さを前面に押し出すイランのパワープレーに押し込まれる時間もあったが、ミスマッチの状況でも身体を張ってシュートまで持っていかせず、ゾーンディフェンスを金丸の3ポイントシュートで攻略して逆にリードを広げる。相手が攻守のギアを上げたところで、そのさらに上を行った日本が68-43として第3クォーターを締める。

最終クォーターには日本に疲労の色が見え、イランがスピードで上回るように。単純な高さとパワーは抑えられていたが、速攻を何度も出されるようになると受け身に回らざるを得ない。それでも崩れることはなく、ベンドラメのスティールからのワンマン速攻などで反撃。渡邉が密集地帯となったペイントエリアを強引に突破してゴール下を決める奮闘もあり、最終的にはすべてのクォーターでイランを上回り、85-57で勝利した。

男子日本代表

25日の第2戦、27日の第3戦はさらに激しい戦いに

ギャビン・エドワーズはゲームハイの21得点に加えて7リバウンドを記録。第1クォーターこそ無得点だったが、縦へのスピードでイランを振り回すとともに高確率でシュートを沈めた。これに続いたのが16得点の比江島で、激しいコンタクトにも引かずにアタックを続け、試合を通してコンスタントに得点を奪うとともに、ディフェンスでも見せ場を作っている。そして安藤周人は16得点、金丸は14得点とシューター陣も活躍。速い展開からチャンスを呼び込んでは得点を伸ばした。

「今日はたくさんの選手が良いプレーをした」と日本代表ヘッドコーチのフリオ・ラマスは言う。「周人や比江島、金丸が良い活躍ができた。田中もベンドラメも評価しているし、ギャビンも良かった。ただ、個人個人での評価をしているわけではなくて、チーム全体が良い内容でプレーできた」

もっとも、アジアカップで公式戦3試合を戦ってこの試合に臨んだ日本に比べ、イランはまだまだ調整段階。FIBAランキングは日本の42位に対してイランは23位で、試合勘とコンディションを取り戻した25日(金)の第2戦、27日(日)の第3戦ではプレー強度を高めてくるはず。日本代表はオリンピックに向けたメンバー選考が佳境であり、より激しい戦いとなることを期待したい。