22得点で勝利に貢献「ベストプレーヤー抜きでも戦えることを示したかった」
ほとんどのファンが注意を払っていないだろうが、レジー・ジャクソンはクリッパーズに欠かせない戦力へと成長している。NBAキャリア10年目を迎えた今シーズン、加入2年目となったクリッパーズで彼はタロン・ルーの信頼を勝ち取り、パトリック・ベバリーやラジョン・ロンドより多くのプレータイムと重要な役割を与えられた。レギュラーシーズンでは72試合中67試合に出場し、そのうち43試合でスタートを任され、10.7得点、3.1アシストを記録している。さほどのインパクトには感じないかもしれないが、フィールドゴール成功率45%、3ポイントシュート成功率43.3%は素晴らしい数字だ。
ただ、彼にはポストシーズンの経験が不足している。サンダーでは若き日のケビン・デュラントやラッセル・ウェストブルックとともにカンファレンスファイナルを経験しているが、それは7年前の話。ピストンズ時代の2度のプレーオフはいずれもファーストラウンド止まりで、クリッパーズに途中加入した昨シーズンはあくまで脇役を務めたに過ぎなかった。
レギュラーシーズンでいくら調子が良くても、プレーオフはまた別物。だが、彼は今も好調を保ち続けている。
プレーオフでの12試合中10試合で先発し、15.4得点、2.7アシストを記録。カワイ・レナードがケガで欠場したジャズとの第5戦では、37得点のポール・ジョージ、25得点のマーカス・モリスに続く22得点を挙げている。この試合ではジョージの大活躍が注目されたが、ジョージだけでは勝てなかったはずだ。ジョージが牽引役となったのは間違いないが、他の選手のステップアップが重なったからこそ、敵地でジャズを破り、シリーズ突破に王手をかけることができた。
価値ある勝利を挙げた後、ジャクソンは「ケガ人続出のプレーオフで、自分たちのベストプレーヤーがそれに続いてしまった。精神的なダメージはものすごく大きかったよ」と、カワイの戦線離脱を振り返る。
ここで彼自身が気持ちを切り替え、ベテランとしてチームに影響力を発揮したことが、クリッパーズにとって重要な転機となった。「僕はみんなに、チームの目標を達成したければ戦い続けるしかないと話した。勝てるかどうかは別として、試合へのアプローチを間違えて自信のないプレーをすることだけは避けたかった。ここで終わりたくはないから、チャンスがある限りは戦い続けるんだ。カワイの離脱を言い訳にすることもできるだろうけど、ベストプレーヤー抜きでも戦えることを示したかった」
ジャクソンの存在感が際立ったのは第4クォーター中盤、勝負どころに差し掛かった数分間だった。両チームとも疲労が溜まり、試合が大きく動く時間帯に、ポール・ジョージではなく彼がオフェンスをリードした。残り8分半からの約4分間、クリッパーズが挙げた13得点は、彼の10得点と彼のアシストによるニコラ・バトゥームの3ポイントシュート。ジョージへの警戒を逆手に取ったオフェンスが機能し、2ポゼッションないしは3ポゼッションのリードを保った。第4クォーターでフル出場したジョージはこの間に疲弊せずに済んだし、ドノバン・ミッチェルが強引なアタックからシュートを決め続けても点差が詰まらずジャズには焦りが生まれた。
レジー・ジャクソンがカワイ・レナードとポール・ジョージに並ぶ『第3の男』になることはないだろう。それでもチームを支える大事な戦力であることに変わりはない。優勝を狙えるチャンスがある今、彼は自分が何をすべきか完璧に理解している。