サンズの守備を称えるも「それで決められない自分だとは思っていない」
ナゲッツが大苦戦を強いられている。カンファレンスセミファイナルでサンズと対戦しているが、ここまで3連敗。敵地での連敗も痛かったが、デンバーに戻って仕切り直しの一戦で、ほぼ無抵抗のまま102-116で敗れ、崖っぷちに追い詰められた。現地6月11日の第3戦はほとんどの時間帯でビハインドを背負う展開で、第3クォーターまでは10点前後で食らい付いていたが、サンズは主力のプレータイムを調整しつつボールシェアをして、クリス・ポールやデビン・ブッカーが無理に攻めない余裕の試合運び。逆にナゲッツは主力を引っ張っても劣勢を覆せなかった。
ニコラ・ヨキッチは32得点20リバウンド10アシストのトリプル・ダブルを記録。40分間の出場ですべてゲームハイの数字を叩き出したが、それでも勝ち筋は見いだせなかった。試合前にはホームのファンの前でシーズンMVPのトロフィー贈呈式があったが、そのお祝いムードは試合が始まると消えてしまった。
チームが苦境にあるとしても、シーズンMVPの偉業は色褪せない。特にナゲッツの所属選手がMVPを勝ち取るのは初めてのことで、デンバーのファンは、愛するヨキッチの受賞を心から喜んだ。試合後の会見で、ヨキッチは受賞を振り返り「トロフィーをもらったのは僕だけど、チーム全員で勝ち取ったものだと考えている。だから、みんなで喜びを分かち合えてうれしかった」と語っている。
それでも0勝3敗と追い詰められた今は、『負ければ終わり』という現実と向き合わなければならない。ヨキッチは32得点を挙げたものの、フィールドゴール29本中13本成功(44.8%)と確率は平凡で、3ポイントシュートは6本中成功わずか1本と精彩を欠いた。絶対的なエースのヨキッチがそうなら、チームはもっと低調だ。ヨキッチ以外の選手のフィールドゴール成功率は39.4%しかなかった。
「サンズのディフェンスが良かったことは認めなくてはいけない。彼らはウチのプレーをよく研究していて、余裕を持った対応をされている。でも、単純にウチのシュート成功率が低いことの方が問題だ。イージーなシュートを落としているから、こんな数字になる」
しかしヨキッチはチームメートの不甲斐なさを糾弾せず、責任はむしろ自分にあると言う。「良いシュートチャンスをもっと作らなきゃいけないし、僕はガードやウイングのためにもっと良いスペースを作ってあげなきゃいけない」
試合終盤にはフラストレーションを爆発させ、審判に文句を言ってテクニカルファウルを宣告されるシーンもあった。思うようにならない試合展開にイライラしていたのは間違いないが、このことを問われたヨキッチは、問題はジャッジでもベンチでもチームメートでもなく、自分自身にあるとした。
「フラストレーションは自分に向けたものだ。たくさんのシュートを外してしまい、自分のベストパフォーマンスを見せられなかった。僕が決めるべきシュートを決めていれば、もっと楽な展開になったはずだからね。サンズのディフェンスにはタフショットを強いられた。しかし、それで決められない自分だとは思っていない」
試合前のMVPトロフィー授賞式の歓喜は消え去り、チームには重苦しい雰囲気が漂っている。それでもロッカールームでヨキッチは仲間たちにこんな声を掛けたそうだ。「とにかく勝つしかない。だけど、第4戦に勝てば何かが変わるはずだ。全力を尽くそう」