NBAファイナル進出から失意のシーズンへ、次の一歩をどう踏み出すかが注目されるヒートの今後をパット・ライリーが語る

NBAファイナル進出から失意のシーズンへ、次の一歩をどう踏み出すかが注目されるヒートの今後をパット・ライリーが語る

2021/06/09 11:30
ヒート

「今回のプレーオフの結果に影響されることなく、我々は前に進む」

ヒートの2020-21シーズンは不本意なものに終わってしまった。昨シーズン、『バブル』でのプレーオフをNBAファイナルまで勝ち進んだが、その疲弊が抜けきらないまま今シーズンを迎えたことで、様々な影響があった。レイカーズは主力の戦線離脱が相次ぎ、コアメンバーが揃って万全の状態になることは一度もなかった。ヒートも同じで、疲労の蓄積にケガ、新型コロナウイルス感染に苦しめられ、プレーオフに入ったからといってギアを一段階上げられるわけではなく、バックスにあっさりと敗れ去った。

バックスにスウィープされてから2週間後、球団社長のパット・ライリーはシーズン総括のオンライン会見を行った。4戦目に負けた瞬間からチームはオフになるが、フロントの戦いはスタートする。チームの戦い方を分析して改善点を洗い出し、選手やスタッフのそれぞれと面談を行って、契約の問題に取り掛かり、来るべきドラフトやフリーエージェント市場に備える。

しかしライリーは「まずやるべきことは休息だった。環境が一変した中で走り続けてきて、この組織の誰もが休息を必要としていた」と語る。「この1年のやり方はちょっと度を越えていた。今が何月か分からないような中で戦ってきたんだ。でも、言い訳をせずに適応するしかなかった」

ヒートのオフシーズンのワークアウトは有名で、大ベテランのユドニス・ハズレムを筆頭に休みなしに身体改造とスキル向上に励む。しかし今回はすべてにストップがかかり、そこにはライリーの活動も含まれていた。こうして心身ともにリフレッシュして会見に臨んだ彼は、頭の中にある今後のヒートがあるべき姿について語った。

「今回のプレーオフの結果に影響されることなく、我々は前に進む。チームが進むべき道は様々で、今までと同じようにすることも、大きく変えることもできる。一つ言えるのは、チームの中心であるジミー(バトラー)とバム(アデバヨ)を気に入っているということだ。そして今回はサラリーキャップにかなりの余裕があり、チーム強化の選択肢は多い」

もともと今オフにサラリーキャップが空くのは、ヤニス・アデトクンボがフリーエージェントになることを見越しての判断だった。しかしアデトクンボは早々にバックスとの契約延長を決断。今オフのフリーエージェント市場に『超大物』はいない。あるとすればカワイ・レナードだが、彼はクリッパーズに残留するものと思われる。ヒートとしてはアテが外れた形だが、この余裕があるからこそ今オフに思い切った手を打てる。

来シーズンはアデバヨの契約金額が上がり、バトラーと2人で6400万ドル(約70億円)を使うことになるが、ビクター・オラディポ、ゴラン・ドラギッチ、アンドレ・イグダーラ、トレバー・アリーザ、ネマニャ・ビエリツァが契約満了を迎え、7000万ドル(約77億円)以上のサラリーが浮く。フリーエージェント市場に出るスター選手を2人、ないしは3人を迎え入れられる予算規模だ。

しかし、最初に着手すべきは現所属選手の契約だ。ケンドリック・ナンとダンカン・ロビンソンは制限付きフリーエージェントとなる。どちらも主力になれる実力を持ち、他のクラブからオファーが来るのは間違いない。ライリーは言う。「2人ともウチに来た時は名が知られておらず、何の保証もない状態だった。そこから一生懸命に努力して、ポジションとプレータイムを勝ち取った。好不調の波はあるが、若い選手はそういうものだ。2人のことは好きだが、市場が動くまでは様子見だ」

その一方で2年目のシーズンを終えたタイラー・ヒーローには別の評価を与えている。「彼はコア・プレーヤーだ。1年目はスクリーンを使ってキャッチ&シュートするだけの選手だったが、今シーズンは右手でも左手でもハンドリング能力を高め、スペースを作り、ドライブし、どこからでもジャンパーの打てる選手に成長した」

そして、チームリーダーのジミー・バトラーとヘッドコーチのエリック・スポールストラの関係が険悪になったという噂を否定せず、むしろ率直な思いを語っている。「ジミーにしろエリックにしろ問題は出てくるが、それが普通のことなんだ。私がヘッドコーチを務めていた頃、主力選手と意見の相違がなかったことはなかった。いつも怒鳴り合っていたよ。静かにしていて済むのならいいが、私は緊張感のあるチームを作りたい。そうでなければ無気力になってしまうよ」

「新シーズンが始まる頃には、世の中は今よりもっと正常に近づいているだろう。今回のオフはみんな十分に休みを取ることができるし、始動した時にはプロトコルは残っていても、これまでほど厳しくはないはずだ。我々は良い方向に向かうと思う」

ここからヒートの選手もスタッフもそれぞれ新シーズンに向けて動き出す。チームは一新されるのか、継続路線を進むのか。いずれにしてもライリーの手に委ねられるからには、闘志むき出しでハードに戦う集団になることは間違いない。

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