ニコラ・ヨキッチ

全試合に出場し、26.4得点、10.8リバウンド、8.3アシストを記録

2020-21シーズンのMVPは、大方の予想通りナゲッツのニコラ・ヨキッチが受賞することが明らかになった。

ヨキッチはセルビアの最も北に位置するソンボル出身。ベオグラードのメガバスケットでプロキャリアをスタートさせ、19歳だった2014年のNBAドラフトでナゲッツに指名された。NBAデビューとなった2015-16シーズンから主力として活躍し、1年目にはオールルーキーのファーストチームに選出されている。

221cmの長身でありながら俊敏さもあり、子供の頃からガードからプレーしておりハンドリング能力も高い。NBAに来た当初は巨体を生かすセンターだったが、自分にとってベストのプレースタイルを探る中で体重を絞り、スキルとクイックネス、バスケIQで戦う選手として大成した。

センターだがハンドラーも務めるポイントセンターとしてオールラウンドに働いた今シーズンは、26.4得点、10.8リバウンド、8.3アシストを記録。自身と並ぶエースの一角であるジャマール・マレーを欠きながらもチームを47勝25敗と西の3位に導き、今はカンファレンスセミファイナルを戦っている。

今シーズンのMVP最終候補はセブンティシクサーズのジョエル・エンビード、ウォリアーズのステフィン・カリー、そしてヨキッチだった。いずれも素晴らしいインパクトを残したが、カリーはチーム成績が悪かったこと(39勝33敗の9位)、エンビードはケガがありレギュラーシーズン72試合のうち51試合にしか出場していなかったことが響いた。正式発表になった際には投票結果の詳細も明らかになるが、ヨキッチはこの2人を大きくリードしたものと思われる。

ヨキッチにとってはNBA6年目。ルーキーイヤーから活躍し続けてはいたが、最初の3シーズンはプレーオフに手が届かなかった。ヨキッチ中心のチーム作りを推し進める中で『若さに溢れた勢いのあるチーム』でありながら、若さが裏目にも出て安定感を欠くこともあったが、ここに来てナゲッツは変わりつつある。一昨シーズンはチームとして10年ぶりにカンファレンスセミファイナルに進出し、昨シーズンはカンファレンスファイナルまで勝ち進んだ。今シーズンもマレーを欠きながら健闘を続けている。

ヨキッチがボールを運ぶところからスタートし、ポジションレスで短いパスを繋いでいくナゲッツの戦いぶりは、成熟しているが爆発力もある。まだ26歳の『進化系ビッグマン』を軸に据えたナゲッツは今後も成長し、変化していくはず。その行き着く先のスタイルがどんなものになるのか楽しみだ。