カイリー・アービング

ハーデンはチームに手応え「今は一緒にプレーできるのが楽しい」

ジェームズ・ハーデンが34得点10リバウンド10アシスト、カイリー・アービングが25得点、ケビン・デュラントが24得点。ネッツが誇る『ビッグ3』は見事に機能し、セルティックスとの第5戦を123-109と快勝。4勝1敗でのシリーズ突破を決めた。

主力選手を多数欠くセルティックスはジェイソン・テイタムが奮闘するも、引き離されないようにするのが精一杯。第1クォーター終盤から第4クォーター序盤まで、ほとんどの時間帯を1桁の点差で食らい付いたのは、むしろ大健闘と言える。ただ、大差は付かなくてもセルティックスに勝ち目がないのは明らかで、セルティックスの選手たちもそれを覚悟しながらプレーしているように見えた。マーカス・スマートは「ケガ人にケガ人が重なった。いろんなことがあって、みんな一緒にプレーできなかった。個人的にもいろいろあったけど、どんな問題があっても僕たちはプロでなければいけない」と語る。

ネッツは余力を残してこの第5戦を制し、試合後の会見に現れた時にはカンファレンスセミファイナルに意識を向けていた。指揮官のスティーブ・ナッシュは「バックスに挑戦することにワクワクしているよ」と言う。

ハーデンはセルティックスとの5試合で平均27.8得点、7.2リバウンド、10.6アシストを記録。レギュラーシーズン終盤はコンディションが上がらずに心配されたのが嘘のようなパフォーマンスを見せている。「みんなが揃わない時期が長かったから、それだけ今は一緒にプレーできるのが楽しい」と彼は言う。「今はもうバックスに意識が向いているよ。マッチアップや、攻守でどうボールを動かすべきか考えている。だけど、まずは休みだ。明日は回復にあてて、難敵バックスに備えるよ」

セルティックスの主力が相次いで戦線離脱する状況だったことに対してハーデンは「それは関係ない。誰がケガをしていようが、試合中にそんなことは誰も気にしない。大事なのは良いプレーをして勝つこと。僕たちはそれをやったんだ」と語るが、ネッツにとってはこれからが本番だと言える。今のバックスはヤニス・アデトクンボだけのチームではない。クリス・ミドルトンとドリュー・ホリデーが攻守を支え、練られた戦術と分厚い選手層、規律とパワーがある。当然、備えを十分にして臨まなければならない。

唯一、セルティックスに意識を向けたままだったのはアービングだ。かつて自分がフリーエージェントで出ていったことを許していないボストンのファンから大ブーイングを浴びせられ、第4戦の試合後には水のペットボトルまで投げつけられた。5試合平均で24.8得点とスタッツは残したものの、ブーイングに集中を乱されてパフォーマンスに波があったのは否めない。それでも彼は、この課題を乗り越えた。

「ボストンでプレーする機会を得られたことには感謝しているんだ。ボストンを離れてからもたくさんサポートしてもらって、そのことにも感謝している。僕にとって簡単な移籍じゃなかった。僕には多くの人が知らないようなことが起きていたから」とカイリーは言う。「この1年半の間に残っていた感情を目の当たりにした。それを解決して前進できてうれしいよ」

それでも自分自身からチームへと意識を向けると、このシリーズはポジティブなものだったとカイリーは言う。「それぞれが先走ってしまうとチームプレーは上手くいかない。大事なのは毎日を大切にして、チームとして一貫性を持った努力を続けていくこと。そういう意味では、この短い期間でチームは大きく成長できたと思う」

中3日の休養を挟んで、バックスとネッツのカンファレンスセミファイナルは現地6月5日からスタートする。