「僕らは今日よりずっとディフェンスできるはずだ」
アンソニー・デイビスのケガはレイカーズにとって命取りになりかねない。サンズとのプレーオフファーストラウンド第4戦、前半残り1分を切ったところで、ベースラインを破るドライブからレイアップに行ったデイビスは、着地とともに左足の付け根を押さえて倒れた。立ち上がって前半最後の40秒をプレーしたものの、もはや走れない状態。デイビス不在となった後半のレイカーズは勢いを欠き、92-100で敗れた。
デイビスはレギュラーシーズン中盤からふくらはぎとアキレス腱を痛めて10週間の長期欠場を強いられた。この間にチームは順位を落とし、プレーイン・トーナメントに回る羽目になった。今回のシリーズでも第3戦の時点で膝を痛めており、そこに今回の鼠径部のケガが重なったのだから、話は穏やかではない。
現地6月1日に行われる第5戦でデイビスの出場は危ぶまれている。プレーできたとしても、100%の状態には程遠いだろう。レイカーズの指揮官フランク・ボーゲルは「全員のステップアップが必要だ。チームとしての努力、全員の力が求められる。もしAD(デイビス)がプレーできないのだとすれば、彼抜きで戦った経験を次の試合で生かすことになる」と語る。
しかし、デイビス抜きで戦った経験はネガティブなものでしかない。デイビスがケガをした10週間の戦績は14勝17敗。ここにはレブロン・ジェームズの欠場が重なった期間もあり、レブロンが元気にプレーしている今はまた違うだろうが、レイカーズのどの選手にもデイビスのケガには危機感しかないはず。「ADの分まで自分が」と考えられる選手がいるだろうか。
デイビス不在となった第3クォーターは、カイル・クーズマ、マーキーフ・モリス、モントレズ・ハレルがいずれも消極的なプレーに終始し、15-27と失速した。この状況で活躍した唯一のビッグマンがマルク・ガソルで、サンズの勢いに飲み込まれたアンドレ・ドラモンドに代わってセンターに入り、23分のプレーで12得点8リバウンド3アシスト3ブロックを記録した。
ガソルは言う。「ADはウチにとって非常に重要な存在だ。特にディフェンスでは他の誰にもできないことをたくさんできる。だけど、コミュニケーションと積極性、適切なポジショニングを意識することで、僕らは今日よりずっとディフェンスできるはずだ」
レイカーズとサンズのシリーズはここまで2勝2敗。クリス・ポールが肩を痛めた第2戦と第3戦はレイカーズが取り、デイビスがケガをした第4戦は取り返した。スタープレーヤーのコンディションが勝敗に直結している状況を、レイカーズのロールプレーヤーが変えられるか。残る3試合、ホームアドバンテージはサンズにある。スター選手が全員揃った第1戦をサンズが勝った事実も含めれば、レイカーズにとってこの状況は全く油断ができない。
ガソルはチームの精神面に目を向けた。「自分たちのスタイルを見失ってはダメだ。シュートが落ちても気落ちせず、取るべきスペースに向かって走ること。ミスは問題じゃないんだ。シュートを外しても次のプレーで止めるのが大事で、その姿勢を常に見せなければいけない。オフェンスでもディフェンスでも、次のポゼッションに引きずってはいけない。強い気持ちを持ち続けて次のプレーに移ること。その積み重ねで試合を作っていくんだ」
36歳のガソルはプレーオフの出場試合数でレブロンに次いでチーム2番目の97試合という経験を持ち、勝敗を分ける要素が何かを知っている。これがチーム全体に伝わるかどうかが、レイカーズの今後を左右しそうだ。