ドノバン・ミッチェルは自分たちのファンに「いい加減にしてくれ」
グリズリーズはジャズとのプレーオフファーストラウンドに臨んでいる。敵地での2試合を1勝1敗で乗り切り、ホームに戻って来た。それでもチームを取り巻く話題は、第2戦のアリーナでジャ・モラントの家族に向けられた敵意のことだ。ファンのマナーが問われる出来事が相次ぐ中、ここでも一つの事件が起きていた。
モラントにとってはNBA2シーズン目で初のプレーオフ。そこで彼はユタでの2試合に家族を招待していたのだが、第2戦の途中で相手チームのファンから家族が侮辱される出来事があった。モラントは言う。「試合中、僕の家族と警備員が何か揉めているのに気づいた。アウェーでの試合だから気になって、『騒がず静かに見ていてくれ』とチームスタッフに伝言を頼んだんだ。でも、試合後に何が起きたかを知らされて後悔したよ」
「起こったことは受け入れがたいけど、家族は元気だし、大丈夫だ。それでも次のアウェーゲームに家族が行くかどうかは分からない。本当なら僕が行くところにはどこにでも一緒に来て、何も言われずに応援できるべきだよね」
ジャの父親であるティー・モラントは『ESPN』の取材に応じ、「多少のヤジは覚悟して会場に行っているが、今回のそれは常軌を逸したものだった」と人種差別的かつ性的な侮辱を受けたことを明かしている。ジャが目撃したのは、妻への性的なヤジに怒ったティーがそのジャズファンに詰め寄ろうとして、警備員に止められていた様子だった。
調査の結果、3人のジャズファンがモラントの家族に侮辱的な発言をしていたとして、無期限での入場禁止処分を受けた。ジャズのオーナーであるライアン・スミスは、「ユタ・ジャズはファンの攻撃的な行為を許さない。モラントの家族には謝罪したい」との声明を発表し、ドノバン・ミッチェルも「彼らが出入り禁止になってうれしいし、絶対に戻って来られないようにしてほしい。選手にひどい言葉が投げ掛けられるなんて馬鹿げている。いい加減にしてくれ」とツィートしている。自分たちのファンにこれだけ強いメッセージを発するのは相当なことだ。
グリズリーズのヘッドコーチ、テイラー・ジェンキンスはこう言う。「みんなコロナで家に引きこもっていて、ようやくアリーナに戻って来たんじゃないか。スポーツを求めていたのは、こんなバカげた行為のためじゃないはずだ」
ティー・モラントは侮辱されたことに怒りながらも、行き過ぎた言動をするファンはその3人だけだったことを強調している。その3人の行為がいかにひどいものだったかを警備員に証言したファンに感謝し、その後の試合観戦を楽しんだと語る。
「トラブルはあったが、その後は素晴らしいユタの皆さんと会話しながら試合を楽しむことができた。帰り際にその一人から『次のゲームも是非見に来てくれ』と言われて、私は『3勝1敗で戻って来るから、その試合で君たちは終わりだね』と答えたよ。私はファン同士のそういうトラッシュトークが大好きなんだ」
コート上は戦場かもしれないが、ファンを含めたアリーナはあくまでエンタテインメントの場だ。プレーオフだからといってライバル意識が敵意に変わるのは間違っている。モラントの父親ぐらいのトラッシュトークを楽しむ場であってもらいたい。