川崎ブレイブサンダースの長谷川技、新シーズンに向け「平均2桁得点」を熱く誓う

2018/08/15
Bリーグ&国内
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長谷川技

文・写真=鈴木栄一

体重を増やす身体改造でディフェンス強化へ

8月9日、川崎ブレイブサンダースは専修大との練習試合を実施。日本代表組がチームを離れており、外国籍選手も合流していないため、川崎の選手は7名のみ。「自分は体力面でもう学生についていけない。彼らの速さに対応できませんでしたね」と長谷川技は苦笑を漏らしたが、実際は大学生を相手にレベルの違いを随所に見せ、チームの勝利に貢献した。

今はどの選手も長いシーズンを戦い抜くための土台を作る時期。その中でも長谷川が重視しているのはパワーアップだ。「このオフシーズンは身体を強くしようと、ベンチプレスを使ったトレーニングはいつもよりはハードにやっています。昨シーズンは3番ポジションでプレーしていましたが、インサイドの守備のところで僕がやられてしまっていたので、鍛え直そうというところです。去年より、体重が3~4kg増えていて、それに身体を慣らしているところです。まだちょっと重いという感覚です」

この身体改造は、レギュレーション変更で外国籍選手の3番起用も増えそうなことを想定したものでもある。川崎はまだ外国籍選手を発表しておらず、長谷川自身も「どんな選手が来るのか分かっていません」という状況だ。ただ、本人は「できれば止めてみたいですね」と外国籍選手とのマッチアップで負けないという心意気で、この時期のハードワークに取り組んでいる。

長谷川技

リーダーシップは「行動で見せたい」

川崎は継続路線を選択し、主力の多くが残留している。ここまで大きな動きと言えば、チーム一筋で在籍歴も長い栗原貴宏の栃木ブレックスへの移籍で、これで長谷川は同期入団の辻直人とともに篠山竜青に次ぐ古株となった。こうなるとベテランとして若手の指南役などリーダーシップをとる役割も期待される。

高校時代の長谷川は能代工業で満原優樹(サンロッカーズ渋谷)との2枚看板で日本一を達成。大学でも拓殖大で中心選手を務めるなどエリート街道のど真ん中を歩んでいながら、これまで「スポットライトを浴びるのはできるだけ避けたい」、「自分から何か率先して発言して周囲を引っ張るタイプじゃないです」と口にしてきた控えめな性格の持ち主だ。

それだけに、今回も「まだ自分はそういうタイプではない」と言うかと思いきや、「そういう流れになっていますね。行動で見せたいです。竜青さん、辻がいる時は任せますけど、2人が日本代表などでいない時は僕がリーダーの役割をやろうとしています」とチームリーダーとして意識改革に乗り出している。

リーダーシップ以外にも、この夏の長谷川の意識には大きな変化が生まれようとしている。川崎では毎シーズンのチーム始動時に、各選手が北卓也ヘッドコーチに個人的な目標を発表するのが恒例となっている。ここで長谷川は「点を取ると宣言しました」と語る。「2桁取れるよう頑張ります。自分からアタックする回数を増やして行きたいですし、ノーマークのシュートをもっと決められば普通に10点くらいは取れると思うので、精度を上げていきたいです」

ちなみに長谷川の1試合平均得点は一昨シーズンが5.7、昨シーズンが5.8となっており、2桁となれば倍増となる。ただ北ヘッドコーチの反応は「お前なら10点は取れるよな、と毎年言われているので、驚いてはいなかったですね」と普通に受け止められたそうだ。

長谷川技

チャンピオンシップでの屈辱を胸に『変化』を誓う

「10点は取れるよな」と言われているにしても、簡単な数字ではない。Bリーグで平均2桁得点を記録する日本人選手は各チームに1人いるかいないか。エース級の数字である。これまでの長谷川は『守備職人』としての矜持を見せる一方で、得点にこだわりを見せるタイプではなかった。ビッグマウスとは対極にある長谷川が「2桁を狙う」と宣言するのは大きな変化だ。

「これまで2桁取れると言われて、その場では『取ります』と答えますけど、いざ試合となると……という感じでした。それを変えていきたいです。今年はちょっと『やる』という気持ちがあります。それが結果としてどう出るかは分かりませんけど(笑)」

この変化をもたらしたきっかけは、大激戦の末に敗れてシーズン終了となった千葉ジェッツ戦での『屈辱』だ。勝負どころで千葉は長谷川をあえてノーマークにしてきた。「僕が捨てられて、ノーマークで打ったシュートが入らずチームに迷惑をかけてしまった思いが強いです。だからこそ今シーズンは得点面で貢献したいんです」

ここから、長谷川がこれまでほとんど発することのなかった熱い思いが出てきた。「自分が捨てられたのは『この野郎!』って感じでしたね。そこでシュートを決められなかったことを含めてイラつきました。ここまでリベンジしたいと思ったのは久しぶりです」

ニック・ファジーカスと外国籍選手の2人、そして辻直人が川崎オフェンスの中心を担っていくだろう。ファジーカスを帰化選手として起用できる時点で川崎には大きなアドバンテージがあり、そこで長谷川が2桁得点をコンスタントに記録するようになれば、リーグ随一のハイパワーオフェンスとなるのは間違いない。

新チームのお披露目は9月7日から9日のアーリーカップ。「篠山、辻、ニックがおそらくいないでしょうし、シュートを狙う回数は増えると思います」と意気込みを見せる長谷川の『変貌ぶり』が今から楽しみだ。