「心から、本当にチームのみんなを誇りに思う」
ウォリアーズは勝率5割から先になかなか進めない苦しいシーズンを送りながらも、オールスターブレークあたりから攻守とも噛み合うようになり、レギュラーシーズン終盤に一気に順位を上げてプレーイン・トーナメントに駒を進めた。しかし、レイカーズに続きグリズリーズにも敗れ、プレーオフ進出を逃してシーズンを終えることになった。
シーズン前には、クレイ・トンプソンがアキレス腱断裂で早々に全休が決まり、シーズン中も若手が思うように伸びずに苦戦した。しかし、2年前までリーグを支配していた中心選手であるステフィン・カリーとドレイモンド・グリーンがチームを引っ張り、最下位に終わった昨シーズンから挽回して見せた。来シーズンはトンプソンも復帰予定で、今シーズンの経験がチームの底上げに繋がるだろう。
カリーは、オーバータイムの末に112-117でグリズリーズに敗れた試合後、悔しさを隠さず「プレーオフに進みたかった」とコメントした。
この試合で47分プレーし、15本中6本の3ポイントシュートを含む39得点を記録したカリーの表情に、いつものような笑顔はなかった。「次に繋げるようと全力を尽くした。残り3分で8点差から追い付き、オーバータイムに持ち込んだ。勝ちたかったからうれしくはないが、大きな経験になったと思う」とカリーは言う。
「プレーオフを体験したかったし、7戦のシリーズで自分たちがどこまでやれるか試したかった。これがフォーマットだから仕方がない。それでもプレーオフに進みたかったんだ。これからの3カ月、またエネルギーを蓄えて来シーズンに臨むよ」
昨シーズンは15勝しかできなったチームを39勝に導いたカリーのパフォーマンスは突出したもので、シーズンMVP最終候補にも選出された。キャリア3度目の受賞が実現するかどうかは別として、カリーがいなければウォリアーズの猛追がなかったのは間違いない。
ただ、カリーにとってそれは自分だけでなく、チームの仲間たちと苦楽をともにして作り上げたものだ。
「心から、本当にチームのみんなを誇りに思う」。その言葉を最後に、カリーは2020-21シーズンの舞台から降りた。