篠山竜青

「ブザーが鳴った瞬間から明日のことを考えよう」

川崎ブレイブサンダースはチャンピオンシップのセミファイナル、宇都宮ブレックスとの初戦を65-68で落とした。前半はオフェンスリバウンドからのセカンドチャンスポイントを次々と奪われて2桁の点差を付けられ、後半にディフェンスを修正して追い上げたものの、逆転には至らず。相手のシュート確率を33.3%と抑えながら、フィールドゴール試投数で自分たちの54に対し75と大差を付けられた。

悔しい負け、そして大きな一敗であることは間違いないが、篠山竜青は試合終了のブザーが鳴るとすぐに「明日いこう、明日」と声を上げてコートを去った。会見に現れた時には落ち着いた表情で、試合をこう振り返る。「オフェンスリバウンドを相手に25本も取られてしまいました。そこをどれだけ抑えて自分たちのポゼッションを増やせるかが明日の鍵になると思うので、ボックスアウトの部分とか、気持ちの部分で明日しっかり戦います」

宇都宮はこの試合に合わせてビッグラインナップを使い、選手起用にも変化を付けてきたが、篠山は「でも一番はオフェンスリバウンドの部分で宇都宮さんが強い気持ちで入ってきて、ウチが取れなかった。それが一番の違いだと思います」と言う。

厳密に言えば課題はいくつもあるのだろうが、一夜で改善できることには限りがある。その中では優先順位を付ける必要があり、まずは負けを引きずらないこと、そしてオフェンスリバウンドだ。

コート上の時点ですぐに気持ちを切り替え、チームメートにもそう促したことを「2回勝たないと意味がないシリーズなので。もう気持ちを切り替えて、ブザーが鳴った瞬間から明日のことを考えようという意図です」と篠山は説明する。会見では「今日もレベルの高い試合だったと思うんですけど、もう一回明日ここで楽しめる」と言える心境に達していた。

篠山竜青

「常に自分たちに矢印を向けて成長してきた」

相手への対策より大事なのは、自分たちのバスケを徹底すること。出だしから2桁のビハインドを背負い、リバウンドで圧倒され続けながらもしぶとく戦い続け、最後まで勝敗が分からない展開に持ち込めたことは、一つの自信になっている。

「相手に対してアジャストしようとし過ぎて、自分たちがやりたかったことや自分たちが本来やるべきプレーが何なのかというところが、前半は特にできなかったと思います。後半はマティアス(カルファニ)がチームにエナジーを与えてくれて、質の高いディフェンスからアーリーオフェンスに入るという部分が出せて、そこはみんな良い感触として残っている」と篠山は言う。

「明日はそれこそ勝つか家に帰るかという中で、特別なことをやるのではなく、自分たちが積み上げてきたことを原点に返ってぶつけるだけなので、追い詰められてはいるんですが、だからこそ『やるしかないよね』という気持ちになっています」

天皇杯で優勝した時はビッグラインナップの印象が大きすぎただけに、今の川崎はその文脈で語られることが多い。この試合も川崎のビッグラインナップに宇都宮もビッグラインナップで対抗した、という見方もされる。ただ、篠山はそこにプライドを込めて「そもそもこのレギュラーシーズン、ビッグラインナップで勝ってきたわけじゃなく、前半戦はビッグラインナップでも攻めれないし守れない中で少しずつ積み上げて成長して今がある」と語る。

「上手くいかない部分もあるし、ファウルの部分でフラストレーションが溜まる部分も今日もありましたけど、常に自分たちに矢印を向けて成長していくということをレギュラーシーズンでやってきた自負はあります。ただ上手な外国人選手を集めてビッグラインナップをやっているチームではなくて、苦しみながら一つひとつフロアバランスもトランジションも向き合ってみんなでやってきたので。それは今日の試合で崩れてしまうとか動揺してしまうものではありません」

「明日切り替えてもう一回チャレンジできる自信が、僕どうこうじゃなくてチームとして持てています」。そう語る篠山が、そして川崎が今日の第2戦でどんな戦いを見せてくれるのか、注目のゲームは18時35分ティップオフとなる。