試合が進むにつれてディフェンスが引き締まる攻防に
Bリーグ王者を決めるチャンピオンシップはセミファイナルへ。宇都宮ブレックスがホームに川崎ブレイブサンダースを迎えた。どちらもリムプロテクトと前からの激しいプレッシャーに定評があるチーム。大方の予想通り、立ち上がりから攻めよりも守りが目立つ展開となった。
激しくも重苦しいディフェンス合戦の中で主導権を握ったのは宇都宮だった。違いを作り出したのは前半2つのクォーターで5個ずつ奪ったオフェンスリバウンドからの得点。両チームともアウトサイドのシュートチェックまで徹底し、3ポイントシュートもなかなか決まらない中、宇都宮がセカンドチャンスで先行する。川崎も攻守に我慢して1桁の点差で食い下がったのだが、前半の最後は宇都宮がプレッシャーディフェンスで違いを生み出す。藤井祐眞、ニック・ファジーカスをプレッシャーで押し潰してターンオーバーからの速攻に持ち込んで42-30と点差を広げるとともに、唯一シュートタッチ好調な藤井をラストプレーできっちりと止めて前半を折り返した。
後半に入り、両チームはディフェンスをさらに引き締める。ペイントアタックされてもシュートに対して極めて激しく寄せることで、リム付近からの確率の高いはずのシュートも落とさせる。ただ、川崎はハーフタイムにディフェンスを修正し、ガードまでリバウンドに飛び込む姿勢が出たことでゴール下での不利を埋め、オフェンスリバウンドを取られてもシュートを打たさずボールを戻させる粘りのディフェンスで宇都宮の得点を止める。川崎は第3クォーターもオフェンスリバウンドを5本取られたのだが、セカンドチャンスポイントは2しか許さなかった。
オフェンスに転じれば、キックアウトからの3ポイントシュートを警戒してダブルチームに来ない宇都宮ディフェンスに対し、ファジーカスがポストアップから力で強引に、なおかつフィニッシュは指先まで神経が行き届いた丁寧なシュートでの連続得点で追い上げる。ただ、宇都宮は流れの悪い中で比江島慎が2本の3ポイントシュートを決めてリードを守り続けた。
貴重な得点を挙げた比江島「思い切って打ちました」
勝負の第4クォーター、川崎はオフェンスリバウンドを3本取られながらも得点を与えず、3分半を無得点に抑えて1点差まで詰め寄る。その後、宇都宮は全くシュートが入らない展開でジョシュ・スコットが粘り強くフリースローで得点を繋ぎ、川崎は一瞬の隙を突いて辻直人が3ポイントシュートを2本連続でねじ込む。
最終盤、両チームともに集中はディフェンスに向けられて、フロースローでしか得点が動かない。残り50秒、ファジーカスのフリースローで1点差に詰め寄られた宇都宮だが、ここから2度のオフェンスリバウンド奪取に成功。川崎はセカンドチャンスポイントは防いだにしても時計を一気に9秒まで進められ、ファウルゲームに行かざるを得なかった。こうして宇都宮が68-65で、息詰まるディフェンス合戦を制し、第1戦をモノにした。
両チームとも得点が伸びない中、宇都宮にとって流れが悪い時に思い切りの良いシュートから13得点を挙げた比江島は「こういった強い相手にはチャンスもなかなかないので、思い切って打ちました。タッチも良かった」とホッとした表情を見せる。宇都宮のフィールドゴール成功率は33.3%。川崎の48.1%よりかなり悪かったが、リバウンドを制してターンオーバーを誘発することで試投数で75-54と差が付き、このメリットを生かして逃げ切った。川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは「これだけリバウンドを取られると、流れが来るものも来ない」と語る。明日の第2戦に向けて、両チームがどう修正してくるかに注目したい。
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