「サンズとの対戦では今日よりもっと良い試合をしなきゃいけない」
プレーオフを迎えるにあたり、レイカーズにとって最大の問題はコンディション管理だった。レギュラーシーズン中盤にアンソニー・デイビスが、それに続いてレブロン・ジェームズが長期離脱した。昨シーズンをNBAファイナルまで戦い抜いたチームは、73日後には今シーズンの開幕を迎えている。どこかで問題が露呈するのは避けられなかった。本来82試合のところが72試合となった短縮シーズンであったことを差し引いても、デイビスは36試合、レブロンは45試合と、キャリアの中で出場試合数が最も少ないシーズンとなった。
レギュラーシーズン終盤にはデニス・シュルーダーが健康安全プロトコルに抵触して実戦から遠ざかった。こうしてレイカーズは順位を落とし、プレーイン・トーナメントに回ることに。ウォリアーズ戦の前日、アンソニー・デイビスはこう語っている。「すごく良い感じでこの試合を迎えられる。シーズン中にこれだけ休むことに戸惑ったけど、短いオフみたいなものだと考えた。おかげで完全にコンディションを戻してポストシーズンに入ることができる。リズムは戻って来たし、準備万端だよ」
しかし実際は甘くなかった。レギュラーシーズンとプレーオフは別物で、ウォリアーズはデイビスよりもそのことを知り尽くしており、速いテンポに持ち込んで主導権を握った。レイカーズは前半ほぼやられっぱなし、後半に立ち直って最後はレブロンの劇的なシュートで逆転勝利を収めたのだが、デイビスはフィールドゴール24本中成功10本と確率は悪く、25得点12リバウンドのダブル・ダブルは記録したが苦戦した印象は否めない。
「前半はプレーに迷いがあった。相手のことばかり考えて消極的になっていたと思う。自分たちのバスケをやる必要があって、ハーフタイムにそれを確認できたのが良かった」とデイビスは振り返る。
レブロンによれば、ハーフタイムに檄を飛ばしたのはジャレッド・ダドリーとマーキーフ・モリスだったそうだ。この試合でプレータイムのなかったベテラン2人が厳しい言葉を投げかけ、それでレイカーズは目を覚ました。
サンズと対戦するプレーオフ1回戦からが、いよいよ連覇を懸けた戦いとなる。デイビスは「僕たちはディフェンディングチャンピオンだけど、だからと言って簡単じゃない。すべてのチームが僕たちを倒したいと思っている。それを理解した上で、ベストを発揮しなければ。サンズとの対戦では今日よりもっと良い試合をしなきゃいけない」と意気込みを語る。
デイビスとレブロンが長期欠場し、復帰後もプレーオフに向けた調整を優先した期間、レイカーズは大いに負けた。それで自信を失っていた面は少なからずあるだろう。だが、ウォリアーズとの『プレーオフの雰囲気』に満ちた一戦は、彼らの眠っていた闘志を目覚めさせた。100%には程遠い状態でもどのチームもプレーオフでの対戦を恐れたレイカーズは、100%に近付きつつある。