第1クォーターを24-40と圧倒され、若いホーネッツは立て直せず
NBAのポストシーズンがスタートしました。ペイサーズはレギュラーシーズン終盤に調子を上げ、プレーイン・トーナメントの初戦をホームで戦うことになりましたが、前日の時点で出場が危ぶまれる選手が多かった上、キャリス・ルバートが健康安全プロトコルにより出場不可となりました。相当に苦しい状況でしたが、5月は1試合も出場していなかったポイントガードのマルコム・ブログドンがスターターに名を連ねたことが、試合展開を大きく左右することになりました。
最近のペイサーズはドマンタス・サボニスとルバートがギブ&ゴーの形を連発し、次々にポジションチェンジしてインサイドに飛び込むオフェンスが主流でした。ホーネッツはこのオフェンスへの対処として、サボニスへの警戒を強め、インサイドのスペースを潰してきました。前半はサボニスのフィールドゴール8本中1本に抑え込んでいるので、この対策は機能していました。
しかし、このホーネッツのディフェンスを見たブログドンが、自らのプルアップ3ポイントシュートで初得点を挙げると、サボニスへのパスを匂わせながら両コーナーへパスアウトし、ダグ・マグダーモッドが3連続で3ポイントシュートを成功させるなど、早々に2桁リードを奪いました。ホーネッツの対策は決して悪くなかったのですが、ブログドンがその上を行ったのです。
ホーネッツもコディ・ゼラーが攻守にサボニスを上回り、インサイドでは優位に立つものの、得意の3ポイントシュートが思うように決まらない展開に。しかも追い付きたい焦りからか、3ポイントシュートが外れた後のトランジションディフェンスが悪く、ペイサーズの速攻を次々と決められました。
前半は3ポイントシュート成功率が50%を記録したペイサーズに対し、ホーネッツは21%と振るわず、特にテリー・ロジアーが放った6本すべてが外れたことも重なり、攻守のバランスがガタガタに崩れてしまいました。前半終了時点でペイサーズのリードは24点まで広がり、若いホーネッツは流れに抗うことができません。
シュートの好不調はどこのチームにもあり、レギュラーシーズンの1試合であれば「運が悪かった」で済ませられますが、1試合で勝負が決まるプレーインではそうはいきません。試合序盤に大きなビハインドを負ったとはいえ、インサイドではホーネッツが上回っていただけに、自分たちのリズムになるまで我慢して戦うことができれば、後半にチャンスは来たはずです。
しかし、若いホーネッツは耐え切れませんでした。積極的に仕掛けるのがホーネッツの持ち味ということもあり、次々にディフェンスを変化させて仕掛けましたが、ペイサーズに逆を取られるシーンが連発され、すべてが裏目に出る最悪の展開となりました。
最終スコアは144-117。勝ったペイサーズは、セルティックスvsウィザーズの敗者と対戦し、ここで勝てば第8シードでプレーオフ1回戦ではセブンティシクサーズと対戦することになります。
ゴードン・ヘイワードが離脱した中でプレーインまで進んできた若きホーネッツですが、大事な試合に勝ち切るためには冷静に状況判断できるヘイワードは欠かせない存在でした。逆にペイサーズは3週間ぶりに復帰したブログドンの判断力がホーネッツの対策を打ち破っています。第3クォーター途中までの21分間しかプレーしなかったブログドンは、かなり無理をしてこの試合に出場したのだと想像されますが、見事にチームを勝利の流れに乗せました。レギュラーシーズンとは違い、プレーオフは勢いだけでは勝てないことを示す一戦となりました。