「シーズンをやり続けられたことは本当に良かった」
5月8日、秋田ノーザンハピネッツはホームでの千葉ジェッツ戦をもって、2020-21シーズンの全日程を終えた。
レギュラーシーズン最終戦となった千葉戦は、『オン3』を起用した千葉の高さに苦戦し70-98で敗れた。今シーズンは新型コロナウイルスの影響でレギュラーシーズン60試合のうち1試合が消滅したものの、秋田は59試合を戦い抜いた。
「昨シーズンは中断してしまったので、今シーズンは入場制限や声を出して応援ができないなどありましたけど、59試合でしたがシーズンをやり続けられたことは、本当に良かったです」と中山拓哉は千葉戦後の会見で語った。
それでも「正直なところ、もう試合がないのは寂しいです。僕たちの目標は優勝でしたし、まだまだこれから試合があるチームはあります。やっぱり悔しい思いが一番強いです」と続けた。
「こういうチームに勝たないと目標には届かない。今までチームとしてやってきて、(カディーム)コールビー選手のケガもあって難しい状況でした。その中でも自分たちのバスケをやり続けることができた時間帯もありましたが、優勝を目指すにはまだまだ足りないと今日の試合でも感じました」
秋田はシーズン序盤こそ5連勝を2回もマークするなど好調だったが、シーズン終盤戦では東地区の上位チームとの戦いが続き、負けが混んでしまった。中山が言うように、平均12.3得点、7.9リバウンド、2.4アシストを挙げていた大黒柱のコールビーが2月に両膝膝蓋骨骨折の大ケガを負い戦線離脱したのを機に、厳しい戦いを強いられることになった。
「チームメートにたくさん支えられながら、僕自身も成長できた」
中山は「コールビー選手がケガをしてしまって難しい状況の中、キャプテンの僕がもっともっとチームをまとめられたら良かったなと思います」と振り返った。
特別指定で加わったBリーグ初年度を含めると今年で在籍5シーズン目となり、26歳ながらチームで一番在籍歴が長い選手となった。初めてキャプテンを務めた今シーズンを振り返り、「僕はあんまり人に言うタイプではないですし、いろいろな葛藤がありました」と言う。それでも「1シーズン、キャプテンをさせていただいて、チームメートにたくさん支えられながら、僕自身も成長できたと思います」と続ける。
「昨シーズンまではチームのことよりも、試合に対して僕が100%のパフォーマンスをする、というところが割とあったかなと思います。そこが今シーズンはキャプテンになって、より周りのことやチームのことを考えるようになって、自分でも意識の差は感じました」
「僕が秋田に入ってから一番勝てたシーズンでしたし、チームが成長していることもすごく感じました。秋田がどういうチームなのか、僕たちがどんなバスケットをやりたいかを周りが理解してくれたと思うので、そういった面ではチームとしても良くなっていると思います」
そして、チームが成長した理由の一つに『若手の成長』を挙げた。「僕よりも若い選手がチームに勢いを与えてくれたり、成長してくれたので、今までよりチームとしてステップアップできたと思います」
目標の日本一には届かなかったが、中山がキャプテンとしてチームを引っ張った今シーズンは、28勝31敗で秋田にとってB1での最高勝率となる47.5%を記録した。今シーズンを終えたばかりで気が早いが、中山個人としても、チームとしても成長を続ける秋田の次なる挑戦にも期待せずにはいられない。