カーメロ・アンソニー

「正直、何年か前はこの瞬間を迎えられると思っていなかった」

5月3日のホークス戦で、トレイルブレイザーズのカーメロ・アンソニーはベンチから22分の出場で14得点を記録。キャリア通算得点を2万7318点とし、NBA歴代10位の数字を更新した。

「やっぱりこの瞬間はスペシャルだよ。歴代のトップ10に入ったんだからね」とカーメロは言う。「数字は意識していた。それまでの記録は知らずにプレーしていたけど、今回はあと何点が必要か分かっていた。焦らず、無理せず、いつもと変わらずプレーしなきゃと思っていたよ。その結果、良い感じでゲームに入ることができて、早い段階でシュートが決まったから、変なプレッシャーを感じることなくプレーできた」

通算得点の1位は3万8387点のカリーム・アブドゥル・ジャバー。2位が3万6928点のカール・マローン、3位が3万5318得点のレブロン・ジェームズで、以下コービー・ブライアント、マイケル・ジョーダン、ダーク・ノビツキー、ウィルト・チェンバレン、シャキール・オニール、モーゼス・マローンと続き、カーメロが10番目となる。

錚々たる顔ぶれの中に加わり、まだ得点を伸ばそうとしているカーメロだが、一つ特徴を挙げるとすれば優勝もMVPも経験していないことだ。ブレイザーズのSNSでは、試合後のロッカールームで、ヘッドコーチのテリー・ストッツからこの試合で使用したボールを贈られたカーメロのスピーチが紹介されている。そこで彼はこう語る。

「正直、何年か前はこの瞬間を迎えられると思っていなかった。いろいろあってリーグを離れていたが、我慢して強くなり、自分に忠実になって戻って来て、今こうしてトップ10になることができた」

カーメロが雑草というわけではない。彼は限られた者にしか与えられない才能を持ったプレーヤーだ。2003年のドラフト同期、全体1位指名のレブロン・ジェームズと3位指名の彼が、現役として歴代得点のトップ10入りを果たし、それぞれまだ上を目指している。

だが、カーメロは1年近く所属チームがない苦しみも経験した。2017年にニックスを離れた後、サンダーに定着できず、ロケッツでは解雇を経験した。困難を乗り越えた経験から、彼は次世代の選手たちへこんなメッセージを送っている。「決してあきらめちゃダメだ。良い時も悪い時もある。浮き沈みは必ずあるものだ。でも、ツキがない時期も経験になる。僕は両方を経験したからこそ、そう言えるんだと思う。大事なのは良い時も悪い時も、自分のやるべきことをちゃんとやること。笑顔をたたえながらね。楽しみを見いだしながら続けるんだ」

彼のブレイザーズ入りに尽力したデイミアン・リラードも、記録更新を喜んだ。「いつも彼は淡々と自分の仕事をする。そうやってコツコツと積み上げてきたんだ。殿堂入りに値する偉業だと思うし、チームメートとしてよりも友人としておめでとうと言いたい。みんなが彼のことを話題にしていると、僕はハッピーなんだ」

歴代得点で9位のモーゼス・マローンは2万7409点で、その差は91得点。12試合連続で2桁得点を記録している今の調子であれば、今シーズンの残り7試合での逆転も十分に狙える。

「もう20年やっているけど、今もバスケを愛しているし、プレーを楽しんでいるし、いつも同じように試合の準備をするのが好きだ」とカーメロは言う。今月29日に37歳を迎えるが、彼の挑戦はまだまだ続きそうだ。