川崎ブレイブサンダース

前半に速攻で20-2、トランジションが機能した川崎が主導権

5月1日、川崎ブレイブサンダースがホームでサンロッカーズ渋谷と対戦。チャンピオンシップ出場を決めている強豪同士の対決となったが、攻守の素早い切替えから次々とイージーシュートを作り出し、ニック・ファジーカスの16得点を筆頭に7人が2桁得点とバランスの取れたオフェンスで圧倒した川崎が、108-88で快勝した。

第1クォーター、川崎のビッグラインナップによって生まれた3番ポジションのミスマッチに対し、SR渋谷は広瀬健太が身体を張ったディフェンスに加え、3ポイントシュートを沈める奮闘を見せ互角の出だしとなった。

しかし、ここで川崎は藤井祐眞が持ち前のエナジー全開のハッスルプレーで試合の流れを変える。スティールからジョーダン・ヒースのダンクへと導くと、残り2分には自ら3ポイントシュートを成功させる。さらに直後にはSR渋谷のインバウンドパスを再びスティールし、マティアス・カルファニのシューティングファウル獲得を演出した。その後も藤井を起点とし、走る展開に持ち込んだ川崎が24-16とリードする。

第2クォーターも川崎ペースで試合は進む。インサイド陣だけでなく、増田啓介が得意とするカットインから得点を重ねるなど、ゴール下で着実に加点。さらに前半のファストブレイクポイントで20-2と圧倒したように、トランジションでも上回った川崎がオフェンス爆発で53-39と大きく突き放した。

後半に入り、川崎のビッグラインナップに対して、普段は4番起用が多い野口大介を外国籍選手2名と同時起用し、SR渋谷もスタートからサイズアップを図る。野口はこの期待に応え、このクォーターで5分半の出場ながら2オフェンスリバウンド、1スティールとタフなプレーを見せる。

チーム全体でも前半に比べてボールへの激しい執着心を見せたSR渋谷は、このクォーターで7つのオフェンスリバウンドを記録。この効果もあって第3クォーター残り7分半、残り4分と2度に渡って6点差にまで迫ったが、要所でのミスもあってここから1ポゼッション差にまで詰めきれなかった。

すると「残り3分からターンオーバーが多かった印象です」と伊佐勉ヘッドコーチが語ったように、SR渋谷に乱れが生まれ、川崎は最終的に15点リードと突き放した。これで完全に試合の流れを手繰り寄せた川崎は、第4クォーターに入って篠山竜青が連続で3ポイントシュートを成功させ、残り5分に89-70と早々に勝負を決めた。

川崎ブレイブサンダース

「アタックするメンタルを持ち続けたことで、この点数に繋がった」

余裕の展開で連勝を6に伸ばした川崎の佐藤賢次ヘッドコーチはこのように勝因を語った。「ポゼッションゲームに気をつけていました。渋谷さんはターンオーバーを誘ったり、オフェンスリバウンドに飛び込んできたりします。ポゼッションを与えると、相手のペースになるので負けないように。終始、相手のプレッシャーディフェンスに対して、アタックするメンタルを持ち続けたことで、この点数に繋がった」

多くの選手が活躍した中でも特に目立ったのが、水曜日に3月3日以来の実戦復帰を果たしたカルファニだ。前回はプレータイムが6分46秒と試運転の意味合いが強かったが、今回はローテーション入りし、12分の出場で11得点3リバウンドをマーク。「100%で復帰することを目指していて、それがチームスタッフのおかげでできたことは本当にハッピーです」と語るように、長期離脱の影響を感じさせないプレーだった。

佐藤ヘッドコーチも、次のようにカルファニ復帰のプラス効果を語る。「元々、出し惜しみするタイプではなく、コートにいる時はすべてをエネルギッシュに出し切ってくれるのが特徴で一番の強みです。プレータイムは短いですが、やれることにフォーカスしてくれていて、この役割分担が良いバランスになっています」

実際、特に藤井とカルファニ、ヒースの3人が揃った時は、抜群の機動力とインテンシティを備えたユニットとなり、ディフェンスからのトランジションから流れを変えられる爆発力を持っている。

「ケガをしてからもチームに帯同してみんなを鼓舞していましたが、それではコートの中でチームの助けになれないです。復帰できて、直接チームに勝利に貢献できるのは本当にうれしいです」

こう語るカルファニが、川崎にとってまさに王座奪還へのラストピースとなることを、あらためて強く感じさせられた快勝劇だった。