ステフィン・カリー

「ファンがいるとまるで違うことが実感できた」

ウォリアーズがホームアリーナにファンを迎えて試合をしたのは実に400日以上ぶりのこと。これが選手たちを奮い立たせないはずはなかった。今月に入ってキャリア最高とも言えるパフォーマンスを見せるステフィン・カリーは32得点をマーク。フィジカルを生かして激しく当たり、カリーのリズムを狂わせようと奮闘するファクンド・カンパッソのディフェンスが機能し、カリーもこれを嫌がる素振りを見せていたのだが、試合中にアジャストして終盤に得点ペースを上げ、それとともにウォリアーズもリードを広げて、最終スコア118-97で勝利している。

「大きなアリーナだから、空席だったりシートで覆われているのを見ると気が滅入る。ファンがいなくても頑張らなきゃと思うけど、ファンがいるとまるで違うことが実感できた。エネルギーをもらえるんだ」とカリーは言う。

第3クォーター途中から第4クォーターにかけてのカリーはまさに絶好調で、観客席からは「MVP」のコールが沸き上がった。ファンもこの時を待ち望んでいたのは間違いない。ニコラ・ヨキッチの3ポイントシュートが外れれば「エアボール」の声がかかり、カリーにテクニカルファウルが宣告されればブーイングが飛んだ。

指揮官スティーブ・カーも「今夜のアリーナはエネルギーに満ちていた。失ったものを取り戻せた感覚だった。まだ人数は少ないが、ずっと多くに感じられたよ」と、ファンを迎え入れられたことを喜んだ。

ドレイモンド・グリーンもいつも以上のパフォーマンスを見せた。シュートはわずか3本しか打たず、得点は2に留まったが、12リバウンドと19アシストでの珍しいダブル・ダブルを記録。19アシストは彼のキャリアハイだ。「14ぐらいで自分がたくさんアシストしていることに気が付いたよ。ゲームの流れに合わせるんだ」とグリーンは言う。

ナゲッツにとっては、試合終盤に向かうにつれて力の差が明確になっていく悔しい負け方。先発のウィル・バートンが試合開始早々にケガでプレーできなくなる不運に見舞われたが、ヘッドコーチのマイケル・マローンは「そんなものは理由にならない」と一蹴した。

「ケガはいつだって起きるもの。逆境に見舞われた時にどうするかが問われる。言い訳をして時間を無駄にするチームでありたくはないんだ。私が選手たちに『ジャマール(マレー)がケガをしたから今シーズンの目標を変更しよう』と言うわけがない。目標を達成するのは難しいかもしれない。それでも戦うんだ。バートンのケガは残念だし彼の気持ちに寄り添いたいが、全員がそれぞれ自分の仕事をしなきゃならない。今日はそれができていなかったから負けたんだ」

ウォリアーズはこれで30勝30敗の勝率5割に到達。それでもここに来てチームは内容も結果も伴うようになっており、ポストシーズンに向けての期待も高まる。一方のナゲッツはマレーが今シーズン絶望の大ケガを負い、チームをどう立て直すかは簡単ではない。