ビッグラインナップを軸に、ベンチメンバーも含めチーム一丸の快勝
島根スサノオマジックがホームに広島ドラゴンフライズを迎えた一戦は、後半にギアを上げた島根の逆転勝利に終わった。
前日の第1戦では島根が82-67と完勝したが、この試合で先手を取ったのは広島だった。先発の古野拓巳、ベンチから出る田渡凌がゲームをコントロールし、グレゴリー・エチェニケに良いチャンスを作った。第2クォーターに入ると朝山正悟がそこにアクセントを加えて島根のディフェンスを振り払い、朝山の7得点もあって27-22とリードして前半を折り返す。どちらもディフェンスが効いてシュートがなかなか決まらない展開で、リバウンドやルーズボールへの執着心で上回った分だけ、広島がリードしていた。
後半もその重い展開は変わらなかったが、28-37で迎えた残り4分半から島根はビッグラインナップで試合の流れを引き寄せる。デモン・ブルックスとペリン・ビュフォードに加えて帰化選手のウィリアムス・ニカを同時起用。高さの優位を作りながら、そこに頼りきるのではなく、3番ポジションに入ったビュフォードが前からプレスを仕掛け、ニカがエチェニケに抜かれれば日本人ガードの北川弘がすぐヘルプに飛び込むなど、コート上の5人全員の動きが噛み合った。
ニカに代わって日本人ビッグマンの小阪彰久が入った時間帯も、小阪がエチェニケ相手に踏ん張り、ビュフォードがミスマッチを突いて得点を連発。広島は身体能力の高いアイザイア・マーフィーを付けるのだが、ビュフォードは止められなかった。小阪に続いて後藤翔平もベンチから入ってすぐに岡本飛竜からスティールに成功。そこで得たフリースローで40-40と追い付いて第3クォーターを終えた。
ビッグラインナップが機能したことに加えてセカンドユニットの奮闘で追い付いた島根は、最終クォーターになおも勢いを増す。ボールを運んでプレーメークするのはビュフォードだ。個人で切り崩す力を持つビュフォードが、相手ディフェンスを引き付けてからのパスでチャンスも作り出す。ビュフォードは強引な仕掛けからもぎ取ったバスケット・カウントの3点プレーに始まる13-0のランのすべての得点に、8得点2アシストで絡む素晴らしい働きを見せた。
この間、浮足立つ広島は崩しきらないまま放つシュートがことごとくリングに嫌われ、エチェニケもフリースロー2投をいずれも落とすなど悪い流れを断ち切れない。オフィシャルタイムアウト明けにブルックスにジャンプシュートを決められて(アシストは記録されなかったが、これもビュフォードのパスから生まれた得点だった)2桁のビハインドを背負うことになった。
ランは止まっても島根の勢いは止まらなかった。ビュフォードで攻め続けた後、オフェンスにさらなる勢いを与えたのは阿部諒だ。ベースライン沿いを突破するドライブから逆サイドで待つビュフォードにパスを出してアシストを記録。残り2分を切ってからはオープンで放った3ポイントシュートに続いて、トップスピードのドライブからのフローターも沈める連続得点。ビュフォードでひたすら押した後、いきなり阿部の攻めに切り替えてくる変化に広島は対応できず、そのまま押し切られた。
最終スコアは72-58。ビュフォードが24得点6アシスト、そのうち後半に17得点4アシストを固めて試合をひっくり返した。広島の尺野将太ヘッドコーチは「マッチアップが難しい組み合わせが出てきて、上手く自分たちのやりたいことに集中するのか相手に合わせるのか、という悩ましい展開が続き、最後に押し切られてしまった」と流れを持っていかれた時間帯を悔やんだ。
チームが噛み合う快勝を収めた島根はこれでB1最長となる4連勝をマーク。ファンの声援に応える内容と結果を出している。