天国と地獄を味わった小原翼、横浜ビー・コルセアーズで『勝負のシーズン』を

2018/08/09
Bリーグ&国内
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小原翼

文=丸山素行 写真=バスケット・カウント編集部、B.LEAGUE

2017年2月、筑波大でインカレ3連覇を成し遂げた小原翼は特別指定選手として富山グラウジーズに入団した。他の特別指定選手がプレータイム確保に四苦八苦する中、小原はすぐさま戦力としてコートに送り出され、23試合中20試合に先発出場した。だが正式にプロになり迎えた昨シーズンはプレータイムが激減。そして今夏、横浜ビー・コルセアーズに移籍して心機一転、『勝負のシーズン』を迎える小原に話を聞いた。

不遇の昨シーズン「万能な選手じゃなかった」

──すでにチーム練習が始まっていますが、現在のコンディションはいかがですか?

7月中は週3くらいでずっとやっていたので、これからどんどん仕上がっていくと思います。というかもっと仕上げます。この暑さには慣れないですけど(笑)、今シーズンは今まで以上に仕上げたいと思っているので頑張ります。

──『今まで以上に』と言うのは、横浜に移籍したことで結果を残さないといけないという責任感でしょうか?

そうですね。昨シーズンはほとんど試合に出ていなかったにもかかわらずオファーしてもらったので。結果を出さなければプロとしての道がどんどんなくなっていくと感じています。

──1年目はシーズン途中の加入にもかかわらず重用されましたが、2年目はなかなかプレータイムを得られませんでした。どんなシーズンでしたか?

ヘッドコーチが代わって、アジャストできなかったからあのような結果になりました。1年目のコーチからしたら良い選手だったかもしれないですけど、2年目のコーチからしたら別に良い選手ではなかった。万能な選手じゃなかったということだと思います。

それは選手としての価値としてどうなのかなっていうのは思いますし、どのコーチにもアジャストしていく選手が本物なので、そこはプロの厳しさを見せつけられたかなという感じです。1年目は本当に運が良かったです。本当にどっちも良い経験だと思っています。

1年目はチームが最下位の時に加入して、もう上に行くしかないというメンタリティでやれました。逆に2年目は自分が最初からメンバーにいて落ちてしまったシーズンでした。なかなか他の選手ができないような経験をこの2年間でしたんじゃないかなって思っています。

小原翼

「外国人とフィジカル的に勝負できると証明したい」

──『マッスル翼』の異名を持つ小原選手ですが、その強靭な肉体は大きな武器となりますね。

大学の時に天皇杯でアイザック・バッツ選手に、よく分からないまま、ただただ押し込まれてやられる経験をしたんです。これってバスケットの技術は関係ないなって。日本人は技術よりもフィジカルで負けてる部分が多いと感じたので、日本人だけど外国籍選手とフィジカル的に勝負できると証明したいと思いました。

NBAってカッコいい身体というか、筋肉隆々とした身体の選手がたくさんいるじゃないですか。それを考えると、やっぱりカッコいい身体でバスケできた方が勝てるんじゃないかなって。それだったら身体を先に作っちゃおうと考えたんです。

──カッコよさも追い求めているんですね。現在の身体の出来栄えはいかがですか?

まだまだですね。もっと大きくしたいです。脂肪ではなく筋肉で体重を重くしているところです。でも矛盾しちゃうんですけど、単純に外国籍選手とぶつかるだけだったら、耐えようとする気持ちが大事だと思うんで。突っ込んでいくか、いかないか。突っ込まれるのに対して耐えようとするかどうか。やっぱり逃げない人ほど強いと思うので。それこそ橋本(尚明)さんとか、すごいんですよ。絶対逃げない。そこはフィジカル以上に大切だと思っているんです(笑)。

──昨シーズンで印象に残ったのが最後の試合、入れ替え戦でした。チームは勝って残留を決めたものの、中西良太選手一人に青木ブレイク選手と小原選手がやられた試合でした。

あれは悔しかったですね。僕にとってはフラストレーションを溜めた1年間で、勝っても負けても最後の試合だったので、自分が通用するんだと見せ付けてやろうと思っていました。ダメな流れを自分が変えてやる、自分の力を証明してやると思って入ったんですけど、ただただ熱くなって、コントロールしきれずに終わってしまいました。そんな形で終わってしまったので「戦力としてどうなんだろ」と思われている部分もあると思います。それを見返すじゃないですけど、そんな人たちに「小原を取って良かった」と言ってもらえるように結果を出したいです。

小原翼

過小評価を覆し「見返すシーズン」に

──横浜には帰化選手がおらず、日本人ビッグマンは小原選手だけ。チームの生命線を握っていると言えます。横浜で求められるのはどういったプレーでしょうか?

トム(トーマス・ウィスマン)はディフェンスを頑張る選手が好きなので、一番はディフェンスの部分で期待に応えたいですね。今回の移籍はトムが熱心に誘ってくれたんですけど、僕とトムの出会いって僕が特別指定で入って、初めてスタートで出た栃木(ブレックス)戦なんです。

その試合はいまだに覚えているんですけど、シュートアテンプトが0で、ブロックとかリバウンドの本数もたいしたことなかったんです。でも自分の印象としてもそうですし、チームメートやコーチから見ても、数字に表れないディフェンスの部分での貢献度が結構あって、そういうのを見ていてくれたのかなって僕自身は思っています。

──『勝負の年』となる新シーズンを、どんな1年にしたいですか?

僕は自分のことを上手いと思わないですし、一番下手なプレーヤーだと思っています。これまでも本当に、「見返してやる」って気持ちでしかバスケをやっていないので、それがないとダメなのかもしれないです。僕自身、またどん底からのスタートだと思っているので、今シーズンは上がって来るだけです。