文=鈴木健一郎 写真=3×3.EXE

『3×3』に触れる機会を圧倒的に増やしたい

──『3×3 PREMIERE.EXE』以外の取り組みについても聞かせてください。一般参加の大会である『3×3 TOURNAMENT.EXE』の参加者は増えていますか?

安田 今年はファイナルまで51大会を実施するので、規模は猛烈に増えています。課題は、エリアごとに参加者が多いところと少ないところがあるので、その底上げですね。ここは地元のプレーヤーへの告知を強化する必要があります。あとは来ていただいた方々の満足度を高められれば、リピーターにつながっていきます。構造としては整ってきたので、あとは中身を充実させていく段階です。

──勝敗を競うというより楽しんでもらうことが主体の『3×3 GAME.EXE』と『3×3 FESTIVAL.EXE』はいかがでしょうか。

安田 どんな形があってもいいので、企業タイアップであったり地元のお祭りの中だったり、子供だけの大会や親子大会があってもいいですね。ここは形を決めずに、いろいろやってみる。とにかく3人制バスケをやったことのない人に、触れる機会を圧倒的に増やしたいです。

──面白い場所だとどこがありますか?

安田 御茶ノ水のオフィスビル、「ワテラス」の下で金曜の夜にやったことがあります。仕事終わりのサラリーマンが、それこそ革靴のまま、スーツの上着を脱いでシャツの袖をまくって。そんな絵が実現したのが御茶ノ水の『3×3 FESTIVAL.EXE』でした。あとは『まつりつくば』という年に一度の大きなお祭りで、ビアガーデンの真横にバスケットコートを敷いて、本当にお祭りのすぐ隣でやりました。そこでもMCを入れて音楽をかけて。

御茶ノ水で行われた『3×3 FESTIVAL.EXE』では、オフィスビルの真ん前にコートを設置。金曜夜に仕事を終えたサラリーマンがバスケを楽しむ「場」を出現させた。

五輪開催国として盛り上がりを作りたい

──そんな『3×3』ですが、2020年の東京五輪で正式種目入りを目指しています。

安田 最終的な開催競技種目の決定は大会の3年前に決まるということなので、2017年ですね。先日は野球とソフトボールなどの競技の追加が決まりましたが、『3×3』については種目の最終決定待ちの状況です。競技としてはバスケットボールはもともとあるので。ただ、我々にできるのは、開催国として国内の盛り上がりを作り続けることしかないです。『3×3』が正式種目に決まった時に「何それ?」と言われないように、ちゃんと認知を広げ参加者を増やすというのを、もっとやらなきゃいけないですね。

──ゼビオグループとしても2020年は大きなチャンスだと思いますが。

安田 そうですが、五輪種目になってもならなくても、『3×3』にかけるパワーは変わらない想定ではあります。それぐらいこの競技自体の普及には可能性があると思っています。オリンピックを目指せる人はごく一部で、そのキラキラな人を生み出したいだけではなくて、上を目指さなくても楽しむ人のほうが圧倒的に多いわけですから。

──では、これから『3×3』がどう発展するのが理想なんでしょうか?

安田 より身近なスポーツとして定着することですね。

──究極的には、皆さんが何もしなくても勝手に広まって、日本のどこに行っても年齢や性別を問わず、あちこちでバスケをやっているのが当たり前の光景になるのが理想ですよね。そのためには何が必要なんでしょう? すべての公園にフープを作るとか?

安田 物理的には限界がありますけど、我々のグループの力を生かす取り組みをしています。モラージュ柏というショッピングモールに入っているゼビオの店舗を最近リニューアルしたのですが、そこでは屋上をバスケットコートにしました。沖縄のうるまにできた新店舗では、店の真横に『3×3』のコートを2面作りました。

──それは面白そうですね。

安田 あとは、体育館は日本のどこにでもあって、でもそこが本当に活用されているかと言うと、なかなかそうでもないんです。だから体育館を指定管理されている団体さんに、我々がソフトコンテンツを提案したりとか。そうすることで、我々がお膳立てしなくても皆さんが自ら楽しんでくれる環境につながると思っています。私たちが全部握りたいわけではなくて、至るところで『3×3』を、スポーツを楽しんでいただくような刺激を、マーケティング会社として仕掛けて、盛り上げていきたいです。

日本のバスケットボールをもっと元気に! 『3×3』という超野心的プロジェクトを探る
vol.1~ 広く親しまれた「3on3」が「3×3」に変貌
vol.2~ 未開拓なエリアにマーケットを作る
vol.3~ 実績が実績を呼んでさらなる流れに
vol.4~ 日本のバスケットボールをもっと元気に!



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