東京五輪に向けて正式種目入りを目指す「3×3」
『3×3 PREMIER.EXE』は、今週末の9月10日(土)と11日(日)のRound.8をもって今シーズンのスケジュールを終える。
6月11日、東京都立川市の『ららぽーと立川立飛』で行われた開幕戦から、神戸ハーバーランド、イオンモール岡山、オアシス21(名古屋市)、長崎駅前かもめ広場、横浜赤レンガ倉庫、岸和田カンカンベイサイドモールと各地を転戦。長いようで短い、しかし間違いなく熱いシーズンとなった。
だが、ふと思う。「3×3って何ぞや」と。昭和の時代から「3on3」(スリーオンスリー)と呼ばれた3人制バスケは広く親しまれてきた。しかしいつの間にか「3×3」(スリーバイスリー)が登場し、こうしてバスケットファンの間に浸透しつつある。
今シーズンの『3×3 PREMIER.EXE』は、どの会場でも多くのファンが集まっていた。『3×3』は2020年の東京五輪に向けて正式種目入りを目指している競技であり、世界的にも注目が高まっている。
5対5、フルコートのバスケも面白いが、この『3×3』もいよいよ大きな波になろうとしているようだ。この競技をしっかり知るべく、『3×3 PREMIER.EXE』を手掛けるクロススポーツマーケティング株式会社の安田美希子さんに話を聞いた。
ボール1つ、フープ1つでできるライトなスポーツ
──かなりの盛り上がりを見せる『3×3』ですが、昔からプレーされてきた『3on3』と何が違うのでしょうか。
安田 もともとストリートでボール1つで楽しむバスケットボール・カルチャーとして、競技というより楽しむものとして存在していたのが『3on3』ですね。5人制と比べてボール1つ、フープ1つでできるライトなスポーツです。それに対してFIBA(国際バスケットボール連盟)が、この種目を競技にしたらもっと普及し、バスケットボール自体の発展、活性化につながると目を付けたわけです。その具体的な動きが出て来たのは、私の知る限りでは2010年前後です。
──草の根でプレーされていた『3on3』が、競技として整備されたことで『3×3』になるわけですか。
安田 FIBAは3人制バスケットボールを競技として発展させていこうと、『3×3』として世界共通の競技規則を作りました。そうして競技として発展していけば、世界中でプレーヤーが増えて、ひいてはバスケットボールファミリー全体がより活性化する、という取り組みです。
──思っていたよりずっと新しい競技なんですね。
安田 FIBA主催の初めての国際大会が2012年のワールドツアー・マスターズですから、かなり新しいですね。ただ、そこから急速に広まっています。各国の協会や我々のようなオーガナイザーといった団体が、かなりこの競技に力を入れています。
──その『3×3』を日本ではゼビオグループが盛り上げようとしています。この意図は?
安田 ゼビオグループとしては、スポーツを楽しむ人を一人でも増やし、スポーツの力を信じ感動できる人を増やしたいんです。それがグループのメッセージなので。日本のバスケットボールは、小学校のミニバスや学校体育から始まり、競技者登録が70万人近くいます。この非常に大きなマーケットを盛り上げることができれば、世の中でスポーツを楽しむ人が増えるだろうという観点から、バスケットボールには注目していたんです。
──可能性はあっても、なかなかマーケットとして成立してこない、そんな時代が長く続きました。
安田 ご存知の通り今月からBリーグが始まりますが、当時はアリーナスポーツを見る機会が少なく、マーケティングやプロモーションにもなかなか力が入りませんでした。バスケットボールに触れたことのない日本人ってほとんどいないんですよね。学校教育で触れるのに、学校生活を終えると同時に離れてしまう。この競技をもっと身近にできれば、昔やっていた人がマーケットに戻って来てくれるという思いはありました。
──そこで『3×3』に注目したわけですね。
安田 はい。3人制を普及、発展させれば、ひいては5人制バスケットボールの活性化にもつながり、スポーツを楽しむ競技人口や観戦者人口も増えるんじゃないかと。その中でFIBAがこの競技の普及に本腰を入れたこともすごく大きかったですね。
日本のバスケットボールをもっと元気に! 『3×3』という超野心的プロジェクトを探る
vol.1~ 広く親しまれた「3on3」が「3×3」に変貌
vol.2~ 未開拓なエリアにマーケットを作る
vol.3~ 実績が実績を呼んでさらなる流れに
vol.4~ 日本のバスケットボールをもっと元気に!
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