クリス・ミドルトン

アデトクンボがシーズンの勝負どころを100%で迎えるために

バックスは敵地でのティンバーウルブズ戦で130-105の快勝を収めた。前半を61-44で折り返し、第3クォーター終了時点で106-79までリードを広げる余裕の展開。クリス・ミドルトンが27得点8リバウンド7アシストとオールラウンドな活躍で攻守を引っ張った他、セカンドユニットも含めて好パフォーマンスを披露し、ミドルトンは「全員が正しくプレーし、勝利を追い求めた」と語る。

下位のウルブズが相手であっても、バックスにとってこの快勝は意味がある。MVPのヤニス・アデトクンボが6試合連続で欠場しているが、この勝利で3勝3敗とした。東カンファレンス3位のバックスは、首位を争うシクサーズとネッツに3.5ゲーム離されており、また4位とは4.5ゲーム差があって順位を落とす心配はしなくて良さそうだ。

ヘッドコーチのマイク・ブーデンホルザーはアデトクンボの膝の状態について明言を避けている。プレーできない状態ではなさそうだが、新型コロナウイルスの影響で超過密日程となっている今、無理をさせる必要はない。今の順位表を見ればなおさらだ。

アデトクンボは大きなケガを経験せずにNBAのトップスター選手の仲間入りを果たしたが、NBAキャリア7年目の昨シーズンには3月のレイカーズ戦で、ダンクをした後の着地で左膝を捻挫した。その直後にリーグが中断に入ったことで治療に専念でき、100%のコンディションを取り戻して『バブル』でのシーズン再開に臨んだはずだったが、左膝はすぐに悲鳴を上げた。強行出場を続けたものの、ヒートとのカンファレンスセミファイナルで敗退。最後の第5戦ではコートに立つことさえできなかった。

この時、アデトクンボは自分をプレーさせないというチームの決断に「片足しか動かなくてもプレーしたかった」と本音を語るとともに、「このチームは勝つ時も負ける時も全員が一緒。僕はそのメンタリティが好きだし、チームメートのためにプレーしたいと思う」と発言。そしてオフには契約延長にサインしている。

まだ26歳と若いアデトクンボだが、激闘の積み重ねは膝に大きな負担を強いているようだ。レギュラーシーズン残り18試合、シクサーズとネッツを上回るためにアデトクンボに無理を強いては、昨シーズンのプレーオフの二の舞になりかねない。

本当の勝負どころでアデトクンボが100%の力を発揮するためには、チーム全体でエースを支える体制をもっと強化する必要がある。アデトクンボほどの選手の代わりを務めるのは簡単ではないのはもちろんだが、今シーズンからバックスでプレーするボビー・ポーティス、ロケッツから3月に加入したPJ・タッカーがどこまでチームにフィットできるかは非常に大事だ。アデトクンボが休んでいる間、ここをどこまで突き詰められるか。簡単ではないが、バックスにとっては乗り越えなければならないミッションだ。