従兄弟の死を乗り越え、シカゴの治安回復や暴力根絶に尽力
今シーズンから生まれ育ったシカゴに戻り、ブルズでプレーすることになったドウェイン・ウェイドは、『バスケットボールを超えた部分』に目を向けている。
13年所属したヒートを離れ、34歳という年齢で新天地へのチャレンジを選択したウェイドは、アメリカ国内で多発する銃犯罪、人種問題について問題意識を持った選手の一人だ。7月に『ESPN』が主催したスポーツ選手を対象とした年間表彰式『ESPY賞』授賞式でも人種問題に関して語りかけ、レブロン・ジェームズ、カーメロ・アンソニー、クリス・ポールとともに、暴力根絶を訴えた。
そのウェイドの従兄弟が、現地8月26日にシカゴ市内で起こった銃撃に巻き込まれ、殺害された。失意の中にいながらも、ウェイドは『ABC』とのインタビューで、「シカゴに戻った目的は、バスケットボールよりも大きいことを成すため」と気丈に語った。
「もちろんバスケットボールは僕の仕事だし、人生における大きな一部分だ。僕はそれで生活している。ただ最終的には、人々が一つになれる影響力になれればと思っている」
イリノイ州はアメリカ国内でも銃規制が厳しい州だが、今年だけで2700人以上が銃被害に遭い、8月末までに449人が命を落としており、銃犯罪は一向に減らない。地域と警察が協力しなければ改善が難しいと言われる問題だが、アメリカ国内では、白人警官による黒人殺害という複雑な事件も継続して起こっており、事は単純ではない。
それでもウェイドは、シカゴ市内の治安改善に自分が貢献できることを探している。
「シカゴに戻ったのには理由がある。マイアミで13年プレーして、地元に戻って来た今、一人の人間として自分に何ができるか試してみたい。自分の声が、今まさに起こっている痛ましい事件の改善に繋がることを願う。そして、変化をもたらす解決法を見いだしたいんだ」