8試合の欠場から復帰、富山に善戦する力に
横浜ビー・コルセアーズは週末の富山グラウジーズ戦で72-87、90-96と連敗を喫した。それでもリーグ屈指の得点力を誇る富山に堅守で対抗。その前の節にはリーグNo.1の堅守を誇る宇都宮ブレックスから90得点を奪う絶好調の富山を苦しめたのは間違いない。
横浜は生原秀将が左膝を痛めて離脱中で、ポイントガードが森井健太しかいない状況、第2戦ではその森井がファウルトラブルに陥るアクシデントに見舞われた。それでも終盤まで富山と競った展開に持ち込めたのは、マンツーマンとゾーンを織り交ぜるチェンジングディフェンスの遂行度が今までになく高かったからであり、ヘッドコーチのカイル・ミリングも「ケガの状態で出場できる選手が限られている中ではよく戦えた。戦ってくれた選手の姿を誇りに思う」と、チームの戦いぶりには高い評価を与えている。
そんな横浜にもう一つの良いニュースとなったのが、アキ・チェンバースの復帰だ。右足のケガで1カ月強の戦線離脱となったアキは、この富山との連戦で復帰。水曜ゲームを挟むスケジュールとあってチーム練習に参加できないまま、ぶっつけ本番での復帰となった。第1戦では4得点2リバウンド3アシスト1スティールを記録したが、「ゲーム勘は若干つかめていないところがあり、久しぶりにコートに立って何ができるのかを試さなきゃいけなかった。シューティングの面であまりチームを助けられなかった」と本人が振り返ったように、少なからず課題の残る内容だった。
それでも日曜の2試合目では調子を上げた。プレータイムは22分から29分へと伸び、森井のファウルトラブルを受けて急造のポイントガードの役割も務めてボールタッチの回数が増え、19得点4リバウンド5アシストを記録。
「今日はパフォーマンスも良くて、昨日よりやりやすかった。シュートタッチも今日はある程度つかむことができて、良くなりました。ディフェンスは2日間のともに自分の得意なところでもあるので、自分のスタイルは貫けたと思います。この2試合で自信は取り戻せたと思います」とアキは言う。
「とにかくエナジーを高く保ち、残りの試合に臨みたい」
指揮官ミリングも「このチームで唯一の日本代表候補で、メインの選手なので、彼の欠場は大きな差となりました。ここからゲーム勘を取り戻してくれれば」とアキに高い期待を寄せる。実際、これから調子は右肩上がりに良くなっていくはずだ。
アキが離脱していた間のチーム成績は1勝7敗。この期間を彼は「いろんな形でチームを助けたい思いが強かったのですが、見ていることしかできなくてフラストレーションが溜まりました」と振り返る。
「大事なのはチームで一つになってプレーすることなので、まずは試合にどれだけのエナジーを持ってこれるか。チームとして良いディフェンスができているので、それをオフェンスに繋げたいです。とにかくエナジーを持ってやることが大事。僕自身も、チームにどれだけエナジーをもたらせるかだと思っています。エナジーがあるかないかは見てもらっても分かると思うので、とにかくエナジーを高く保ち、残りの試合に臨みたいです」
今夜は難敵の宇都宮戦。ディフェンスでエナジーを出すバスケの方向性は共通しており、なおかつB1トップの勝率を誇るチームを相手にどれだけ戦えるか。横浜のシーズン終盤戦を占う上では重要な試金石となる。ミリングヘッドコーチは「惜しい試合は続いているが、水曜の宇都宮戦ではアップセットを起こせればいいと思う」と語る。
チームは上向きとはいえ、結果だけど見れば7連敗中。しかし、首位の宇都宮をここで叩くことができればチームを取り巻く雰囲気は一気に変わる。アキの復帰はチームにとって大きな力となる。寡黙で実直な彼の「自信を取り戻した」という言葉には、大きな意味があるはずだ。