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盗まれた携帯の代用品をプレゼントし、旅費も負担

リオ五輪期間中、男子バスケットボールのフランス代表が、あるボランティアの男性に対して取った粋な対応が話題になっている。『Yahoo Sports』が伝えた。

地元から12時間かけてリオ・デ・ジャネイロに入り、母国開催の五輪に協力するためボランティアを務めたビトー・ガルバニさんが強盗被害に遭ったのは、フランス代表がベネズエラ代表との予選ラウンド戦に96-56で快勝した8月12日のことだった。

複数の少年にナイフを突き付けられて脅されたガルバニさんは、所持していた携帯電話を奪われた。これを伝え聞いたフランス代表のトニー・パーカーが、ガルバニさんに新しい携帯電話、さらにはビーツ・エレクトロニクス社製のヘッドフォン、ラコステ製のサングラスをプレゼント。

感激したガルバニさんが、「これならまた強盗被害に遭ってもいいぐらいだ」と冗談交じりで感謝を伝えると、パーカーは宿舎まで無事に帰れるよう車の手配もしたという。

ガルバニさんは、フランスvsスペインの準々決勝を前に取材を受けた際、決勝ラウンドの試合以外のことが話題になるのを避けるため、当初は今回の件について話すのを伏せていた。だが、パーカー自身が今回の件の詳細をメディアに明かした。

「子供のように涙を流して喜んだ」と話したガルバニさんだが、この話には続きがある。

連帯責任を重んじるフランス代表には、選手の練習遅刻や、いかなる違反があった場合でも選手全員から罰金を集めるルールがある。大会終了後、フランス代表のボリス・ディーオウは、ガルバニさんに連絡を入れた。そして、それまでに集まっていた罰金から、ガルバニさんの旅費を工面し、渡したというのだ。

騎士道精神が根付くフランスの選手ならではの対応に、頭が下がる。

連帯責任を重んじ、違反があった場合選手全員から罰金を集めるというフランス代表。大人になってもそうしたルールが浸透していることでチームの絆が生まれるのだろう。