川崎ブレイブサンダース

チームで作り出した3ポイントシュート攻勢で優位に立つ

天皇杯準決勝の第2試合は川崎ブレイブサンダースvsシーホース三河。選手起用が冴えた川崎が一度もビハインドを背負うことなく勝利を収め、昨年に続いてファイナルへと駒を進めた。

川崎は試合開始から運動量で上回り、先手を取る。早い展開から外で簡単にフリーになるジョーダン・ヒースの連続3ポイントシュートを機に、14-6とリードした前半残り4分にはパブロ・アギラールを投入。勝負どころで使うビッグラインナップを早々に出してきた。ヒースが早くも3本目の3ポイントシュートを決め、アギラールへの合わせからの得点も決まるなど、この強気の采配が功を奏す。

日本人選手がビッグマンに頼らない姿勢も出ており、増田啓介が果敢なアタックでファウルを誘い、フリースローでも得点。高橋耕陽のアタックに対し篠山竜青がオフェンスファウルを引き出すなど守備でも良いプレーが出て、三河のやりたいバスケをほとんどやらせず、第1クォーターを終えて22-11と2桁のリードを奪った。

その後も川崎の優位は変わらない。ダバンテ・ガードナーや川村卓也が個人技で得点を奪うも、川崎はそれ以上のペースで得点を重ねていく。残り4分を切ってヒースが個人5本目の3ポイントシュートを決めて37-21。この時点で三河の3ポイントシュートは9本打って成功なしと、アウトサイドの攻めで大きく差が出ていた。

前半を終えて45-30と川崎が大きくリード。ヒースを筆頭に3ポイントシュートが当たった印象が強いが、外の確率は20本中8本成功の40%と突出していたわけではない。それよりもフィールドゴール成功16本のうち13にアシストが付き、それと同時にターンオーバーわずか1と、チームでチャンスを作る効率の良さが光った。

ハーフタイムで気合いを入れ直して三河が勢いを強めるであろう第3クォーター開始から、川崎はまたビッグラインナップを敷く。実際に三河はディフェンスのプレッシャーが強まり、攻めでもボールプッシュに勢いが出ていた。大量ビハインドも一気に詰める爆発的な力を出す気配は見せていたものの、川崎はその時間帯をビッグラインナップでしのぎ、主導権を明け渡すことはなかった。

ただ、第4クォーターの頭から川崎にそれまで出なかったターンオーバーが出始める。ビッグラインナップを多用する川崎は主力にプレータイムが偏り、柏木真介のゲームコントロールで三河が波に乗りつつあった。ただ、65-55と10点差に詰められたところでヒースがこの試合6本目の3ポイントシュートをヒット。さらに藤井祐眞が3ポイントシュートを狙ってファウルを誘い、ニック・ファジーカスからアギラールのハイローも決まるなど、ビッグプレーが次々と飛び出して三河に傾きかけた流れを断ち切る。三河は残り時間が少なくなる中で柏木、高橋耕陽がハッスルするも、点差を1桁に詰めるのが精一杯だった。

ヒースが3ポイントシュート6本成功を含む26得点、アギラールが16得点、ファジーカスが13得点。負けられない一戦でビッグラインナップを効果的に使った川崎が79-67で完勝を収めている。