クリント・カペラ

写真=Getty Images

チームにも自分にも自信があればこその出来高

制限付きフリーエージェントになっていたセンターのクリント・カペラは、5年9000万ドル(約100億円)でロケッツと再契約、残留が決まった。

機動力を重視するスタイルのロケッツにおいて、走れるビッグマンのカペラは重要な存在だ。4年目の昨シーズンには、キャリアハイとなる13.9得点、10.8リバウンド、1.85ブロックを記録。早々に成立すると見られた再契約の交渉が長引いたのは、カペラが1億ドル(約111億円)という希望条件を譲らなかったため、交渉が長引いたと見られている。

1000万ドル(約11億円)もの差額を譲歩した形になったカペラだが、新契約には出来高が含まれている。『The Washington Post』によれば、もしロケッツがプレーオフで西カンファレンス・ファイナルに進出すれば100万ドル(約1億1100万円)、カペラの年間ディフェンシブリバウンド率が30%に到達すれば50万ドル(約5500万円)、年間フリースロー成功率が65%以上なら50万ドルという出来高報酬が新契約の期間である5年継続されるという。つまり、これらの条件を今後5年間クリアし続ければ、カペラは満額で1000万ドルのボーナスを受け取れる、というわけだ。

2連覇中の王者ウォリアーズが黄金期の最中で、レブロン・ジェームズがレイカーズに移籍した今、ロケッツが今後5シーズン連続してカンファレンス・ファイナルに勝ち進むのは並大抵のことではない。それでもカペラがこの条件を受け入れたのは、自信があればこそだ。

インセンティブの中で次に達成するのが難しいのは、フリースロー成功率に関する条件だろう。一般的にビッグマンはフリースローを苦手とするもので、カペラもその一人だ。キャリアハイは昨シーズンの56%で、一度も60%を超えたことはない。これまでカペラは、試合終盤になるとフリースロー成功率が低い選手に故意にファウルを仕掛けてプレーを止める『ハック戦術』の犠牲になることが多かった。もし、この条件をクリアできるほどカペラのフリースローが改善されれば、1ポゼッション、2ポゼッション差で争われる接戦を落とす回数も少なくなるだろう。

ボーナスを手にするためにも、この夏カペラはフリースローの猛特訓を行なっているはずだ。