NBA挑戦1年目、ナゲッツで存在感を強めるファクンド・カンパッソ「これが僕の望んでいたチャレンジだ」

NBA挑戦1年目、ナゲッツで存在感を強めるファクンド・カンパッソ「これが僕の望んでいたチャレンジだ」

2021/03/09 12:00
ファクンド・カンパッソ

ファンを熱狂させる創造性豊かなパスはNBAで唯一無二

ファクンド・カンパッソは28歳でナゲッツとの契約をかわした。彼のNBA挑戦に対しては当初、ネガティブがポジティブを上回っていた。「NBAで通用するかどうか」が語られる際、アルゼンチンやスペインでの実績はほぼ無視される。181cmというサイズ不足を何でカバーするのか。スペインリーグや国際大会で見せたゲームメークとアシスト能力も「守れない」の一言で片付けられてしまう。しかも優勝争いのできるナゲッツでカンパッソにどんな仕事ができるのか。当初の期待値は「当たれば儲けもの」ぐらいだった。

ところがシーズン前半戦を終えて、カンパッソはナゲッツのローテーションに欠かせない存在となっている。開幕当初こそプレータイム確保に苦労したが、試合を重ねるごとにNBAのリズムに慣れ、チームメートとの呼吸も合ってきた。懸念されたディフェンスも、ミスマッチを作られ体格で押し込まれることは多々あるものの、前からプレッシャーを掛ける分には十分以上に通用している。そして何より、誰も予想できない創造性豊かなパスはNBAで唯一無二のもの。ナゲッツファンは彼の技巧に酔いしれている。

そのカンパッソがオールスターブレイクに入るタイミングで『Kroenke Sports』の取材に応じ、「この3カ月間を一言で表すなら『クレイジー』だね。それまでテレビで見てきた選手、ビデオゲームで使っていた選手とマッチアップするんだから。でも僕にとっては大きなチャレンジであり、学びの機会だ。新しいことばかりで慣れるのは大変だったけど、すべてにおいてベストを尽くしたつもり」と語る。

ここまでの平均プレータイムは12月が7.3分、1月が13.9分、そして2月は22.7分と時間が経過するにつれて信頼を勝ち取っているのが分かる。それに伴いスタッツも伸び、2月の11試合では8.4得点、2.7アシスト、1.3スティールと堂々の数字を残した。ナゲッツは昨シーズンにカンファレンスファイナルまで勝ち進み、その疲労を残したまま開幕を迎えた。「ケガ人が多かったことで僕により多くのチャンスが回ってきた。重要な選手の穴を埋めなきゃいけないという思いもあったけど、やっぱりプレーはしたいからこの機会を楽しむようにした。今まで以上にエナジーを出すようにしたし、ヨーロッパでの経験も生かすことができた」とカンパッソは言う。

それでも、彼はナゲッツに加わったからこそ今の活躍があると信じている。取材の中で彼は繰り返し、球団とチームメートへ感謝の言葉を口にした。「ジョー(ニコラ・ヨキッチ)とジャマール(マレー)がいて、国外の選手に慣れている。そんな雰囲気がロッカールームにあるから、僕にとってはすごくやりやすい。チームメートが助けてくれたおかげで、ここまで自信を失うことなくプレーすることができた」

流暢な英語で取材に応じるカンパッソだが、「まだまだ下手だね。語学の勉強でもベストを尽くさなきゃ」と笑顔を見せる。逆に、彼の加入を機にナゲッツのロッカールームではスペイン語がブームになっているそうだ。

「コーチはたまにスペイン語で僕に話しかけてくれる。僕のために勉強してくれているのさ。PJ(ドジアー)やモンテ(モリス)、ジャマールもスペイン語のフレーズを覚えて、ジョークを言ったりする。スペインでのプレー経験があるブラッコ(チャンチャー)を除けば一番上手いのはジャマールかな。そんな人たちのおかげで、ナゲッツのロッカールームを自宅みたいに感じているよ」

プレーの面で苦労しているのは、やはり「サイズと運動能力にアジャストすること」だと言う。「サイズ感が違えばスペースのとらえ方も変わってくる。アイソレーションで攻められる時には孤立している気がする(笑)。あとは1試合が48分間なこと。僕は40分の試合に慣れていたから、その後に一番厳しい8分間をこなすのは大変だよ。でも、これが僕の望んでいたチャレンジだ」

そんな彼のモチベーションを支えているのは妻と愛娘、そしてアルゼンチンからの応援だ。「母国のファンには勇気づけられているよ。SNSを通じて彼らの熱狂ぶりは伝わってくる。真夜中の2時でも僕の試合を見てくれるんだから感謝しかないね。国を代表して挑戦している、この気持ちは僕にとって初めて感じるものだ。だからこそ、すべての試合を全力でプレーしたいと思う」

卓越した個人技を発揮するとともにチームにも慣れ、試合終盤の大事な時間帯を任されることも増えてきた。彼のNBA挑戦は上々のスタートとなったが、本当の勝負はこれからだ。彼の意欲は高く、NBAで多少通用しただけで満足するつもりはない。「僕は大きな目標のためにプレーするのが好きだし、ナゲッツはそれを可能としてくれるチームだ。僕らの進む先には優勝がある。そこに向けて毎日努力して進むんだ」

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