デニス・シュルーダー

ポール・ジョージは「ベストポイントガードの一人」と称賛

サンダーは、カーメロ・アンソニーと2022年のドラフト1巡目指名権を放出し、ホークスからデニス・シュルーダー、セブンティシクサーズからティモテイ・ルワウ・キャバロを獲得した。

今回のトレードの主な目的は、昨シーズンのチームにフィットせず、ベンチ起用を拒否したカーメロの放出にあったが、サンダーはラッセル・ウェストブルックのバックアップに最適とも言えるクイックネスとゲームメーク力、スコアラーとしても非凡な力を持つシュルーダーを獲得できた。来シーズンはプレーのペースアップを目指す方針のチームにとって、彼の加入は大きい。

シュルーダーについては、この夏にサンダーと再契約を結んだポール・ジョージも歓迎している。ラスベガスで開催されているアメリカ代表ミニキャンプ中、ジョージは「彼は間違いなくリーグでもベストポイントガードの一人」と語り、シュルーダーを称賛した。

ここ2シーズンでホークスの先発に定着したシュルーダーは、おそらくサンダーのセカンドユニットの舵取り役を任されるだろう。昨シーズンの規定試合数に到達した選手の中で、シュルーダーはピック・アンド・ロール時のボールハンドラーとして、トレイルブレイザーズのデイミアン・リラード(12.4)、ホーネッツのケンバ・ウォーカー(11.1)、ロケッツのジェームズ・ハーデン(9.3)に次ぐリーグ4位の9.2得点を記録した。プレースタイルはウェストブルックに近く、昨シーズンはアイソレーションからの得点もリーグ上位の数字を残しており、サンダーにいなかったタイプだ。

試合状況に応じてウェストブルックとバックコートを形成するケースも考えられるシュルーダーは、アウトサイドシューターではないものの、パサーとしても優秀だ。時折リスクの高いパスを選択することもあるが、ホークス時代に視野の広さを証明している。

そしてシュルーダーの加入は、ウェストブルックの柔軟性も試されることになる。2016年の夏にケビン・デュラントが退団して以降、サンダーのオフェンスは、ほぼすべて『ミスター・トリプル・ダブル』と化したウェストブルックが起点になっている。状況に応じて彼がシュルーダーにボールを預ければ、これまでよりボールも人も動くようになり、ウェストブルックが無理なアタックを仕掛けることで生まれるターンオーバーも減るだろう。シュルーダーが持ち味のスピードで相手ディフェンスを切り裂くプレーを織り交ぜれば、相手の注意も分散される。そうなれば、オフ・ザ・ボールの動きを増やせるウェストブルックにシュルーダーがキックアウトすることでシュートセレクションの改善に繋がり、スポットアップからの3ポイントシュートを含め、ジョージの効率の良いオフェンスが機能する姿が想像できる。

もしシュルーダーをセカンドユニットに固定するのなら、ウェストブルックのファーストユニットとはまったく異なるチームになるかもしれない。しかし、一人で何でもこなせるウェストブルックの負担を減らせるシュルーダーが加わった以上、2人を同時に起用しない手はない。

昨年のオフにジョージと交換でペイサーズにトレードされたビクター・オラディポ、または2014-15シーズン途中にサンダーからピストンズにトレードされたレジー・ジャクソンのように、これまでウェストブルックが自分に近いタイプとの連携を機能させたことはなかった。次はシュルーダーの番、というわけだ。

ウェストブルック、ジョージ、シュルーダーの『新OK3』が機能するかは、エースにかかっている。