ドノバン・ミッチェル

「僕たちは足を止めない。ここから作り上げていくんだ」

アンソニー・デイビスがアキレス腱の負傷で約1カ月の戦線離脱。デニス・シュルーダーも新型コロナウイルスの健康安全プロトコルの対象となって欠場が続いている。主力を2人も欠いたのでは、レイカーズの本来の力は発揮できない。だが、それ以上にジャズの力は圧倒的だった。2月24日のジャズvsレイカーズは114-89で決着。競っていたのは第1クォーターだけで、あとはジャズが常に大量リードする一方的な展開だった。

「すべての面でチームの成長を感じる。僕らがしっかり守って、攻めに転じた時にボールをシェアできていれば、そう簡単には倒せないよ」と自信を語ったのは18得点9リバウンドのルディ・ゴベアだ。彼とジョーダン・クラークソンがチームトップの18得点。誰かが大量得点を挙げたわけではない。マイク・コンリーを中心にコートを広く使ってボールを動かし、ゴール下でのゴベアの存在感を利用しながらもそこに依存することのないオフェンスは、レイカーズのディフェンスを散々に振り回した。

昨シーズンまでは得点はドノバン・ミッチェルの個人技頼みで、プレーオフでは彼が毎試合のように40得点を挙げたが、ナゲッツに打ち負けた。それでも今はもともとの武器である堅守はそのままに、ボールがよく動いてどこからでもチャンスを作り出す。アシストはレイカーズの17に対し28、3ポイントシュート成功数はレイカーズの8本に対して22本。エースのミッチェルが31分の出場で13得点、フィールドゴール16本中4本成功とシュートタッチが悪かったのにチームは圧勝している。

ジャズは26勝6敗でリーグ首位を快走している。レイカーズの指揮官フランク・ボーゲルは「今、リーグで一番ホットなチームだ。ディフェンスの連係、シュートまでの持っていき方、安定感と、他のどのチームもジャズのレベルには達していない」とその強さを認めた。これまでジャズに敗れたチームのヘッドコーチは総じてその強さに脱帽している。

だが、優勝経験のない彼らは気を緩めてはいけないことを知っている。前年王者を痛快なバスケットで撃破した後も、ドノバン・ミッチェルは表情を変えることなく「僕たちは足を止めない。この勢いを維持して、ここから作り上げていくんだ」と語る。

「僕は個々じゃなくチームの成功を考えたい。僕とルディはいるけど、チームとしてさらに先に進んでいくには、ジョー(イングルズ)、ロイス(オニール)、ジョージ(ニアン)、JC(ジョーダン・クラークソン)のようにオールスターに選ばれてはいないけど優れた選手たちの力が必要だ。もちろん、特別な才能の持ち主であるマイク(コンリー)もね。僕とルディはチームを引っ張っていく責任があると思っている。でも、僕らだけじゃ勝てない。みんなのサポートが必要で、チームとして成長していく必要がある」

ミッチェルは力強くこう言った。「僕らは2月のベストチームになりたいわけじゃない。7月にこのリーグのトップでいたいんだ。そのためにスペシャルなチームになっていく。後半戦もそのつもりで戦っていくよ」