ビールやウェストブルックのドライブに合わせるプレーが機能
開幕前にラッセル・ウェストブルックを獲得したウィザーズですが、チームの根本的な問題は何も解決せずに負け続けていました。ところがここに来て、突如として別のチームのように変わり始めています。きっかけはオフェンスのことしか考えていなかった選手起用が、ギャリソン・マシューズやモリッツ・バグナーを起用するディフェンス面を重視したものに変化したこと。特にバグナーは平均13.4分と短いプレータイムながら、チャージドローがリーグ3位とポジショニングの良さが光っています。
このポジショニングについてはオフェンス面にも大きな影響を与えており、個人が自由に仕掛けるだけだったウィザーズのオフェンスは、秩序だったシステムの中で構成されるようになりました。速攻だけを切り取っても、ウイングは両サイドにワイドに広がって走ることが徹底され、中央のレーンを突破する選手の選択肢が増えて、シンプルながら効率的にフィニッシュに繋げるようになりました。またリバウンドの弱いバグナーがセンターになることで逆にウェストブルックのリバウンドが増え、トランジションアタックにスムーズに移行するようになるなど、チーム全体での役割分担が明確になったことでオフェンスの連携が向上しました。
チームとして大きな変更があったのか、個人の判断で改善したのかは分かりませんが、その著しい改善ぶりには驚かされるばかりです。その中で八村塁について言えば、4連勝の間の3ポイントシュート成功率が10%とシューターとして機能していない一方で、それまで3.8本だったフリースローアテンプトが5.5本まで増えており、インサイドを上手く利用できるようになっています。
ゴール下での高さ不足もあってブロックショットを食らう回数が多い八村ですが、今は一度コーナーにポジションを取ってから、ウェストブルックとブラッドリー・ビールのプレーに合わせてゴール下に飛び込むタイミングが良くなり、スピードに乗ったフィニッシュが増えています。3ポイントシュートばかりが課題のように言われていますが、パスをもらう前の動きで勝負を決めるようになって、シュート力の課題は残したままでも八村のプレーは大きく向上しました。
チーム全体でもボールをもらってから考えるようなプレーが多かったのが、オフボールで3人目4人目の合わせが効果的に決まることで、ウェストブルックとビールのフィニッシュも楽になってきました。相変わらずシュートの下手なウエストブルックも3ポイントシュートを打つ回数を減らし、自らの突破でチャンスをクリエイトする役割に徹しています。
こうした変化によりチームは4連勝。変化はそれぞれ基本的なプレーを押さえただけであり、このようなチームオフェンスをシーズン当初から目指さなかったことに疑問は残りますが、ビールがどれだけ大量得点しても負け続けていた時期とチーム状態は大きく異なります。単に勝利するだけでなく、チーム全体が連動するバスケが形になって選手も手応えを感じているようで、明るい表情が見られることが多くなりました。果たして、この良い雰囲気を続けることができるのか。次のレイカーズ戦が楽しみです。