久しぶりの船橋アリーナ「アウェーの控室に行くのは不思議な感覚」
信州ブレイブウォリアーズは2月13、14日とアウェーで千葉ジェッツと対戦。7シーズン在籍した千葉を離れ、今シーズンから信州へ加入した小野龍猛にとっては古巣凱旋となった。
小野は千葉の低迷期を知り、Bリーグ屈指の強豪へと導いた功労者だ。ファンもそれを分かっているからこそ、『おかえり』の意味を込めて小野に温かい拍手を送った。
慣れ親しんだ船橋アリーナだけに「アウェーの控室に行くのは不思議な感覚でした」と小野は言う。それでも、多くのファンで埋まり、以前と変わらない光景での試合を楽しんだ。「コートに入ったら変わらぬ景色が見えました。今なかなか声が出せない状況ですけど、それでもみんな応援していますし、すごく素晴らしいブースターのみなさんとアリーナなんだとあらためて認識し、この空間を楽しみながらプレーしていました」
良い意味でサバサバした性格の小野は、千葉と対戦する時にはブーイングで迎えてほしいと語っていた。結果的に2日間とも感謝の拍手で迎えられ理想とは違う形となったが、ファンの変わらぬ支援に感謝した。「状況が状況で、ブーイングは難しいので皆さん拍手になってしまったんじゃないかって感じがします。それでも、やっぱりうれしかったですね」
長年所属したチームと初めて対戦するとなれば、少なからず特別な感情を抱くものだろう。それは選手だけでなく、ヘッドコーチも同じだ。結果的に連敗を喫した試合後、信州の指揮を執る勝久マイケルは「2連敗して龍猛にも申し訳ないと思った」と語った。
「(龍猛に勝たせたい)その思いは強くて、琉球(ゴールデンキングス)戦の時にマック(アンソニー・マクヘンリー)にどうしても勝たせてあげたかった気持ちと一緒です。そのあとマックがロッカールームでみんなにありがとうございますと言ったんです。それを龍猛にも言わせたかったんですけど、残念ながら今回はそれができなかった」
マクヘンリーは琉球に9シーズン在籍し、その後は信州の大黒柱となった。今シーズン最初の琉球戦で信州は勝利したが、その再現とはいかなかった。
古巣だけじゃなく「どのチームにも勝ちたいです」
小野も「移籍1年目なのでそういう思いは多少ありました。『ワクワク』というか『楽しみだな』って感じで臨みました」と、古巣対決に特別な思いを抱えていた。ただ、そうした感情よりも、千葉との実力差のほうが頭に残っていた。「正直、僕はどこのチームにも勝ちたいです。1試合1試合成長して大切に戦っているので、どのチームにも勝ちたいです。もちろん勝ちたかったですけど、自分たちがいるところ、このままでは勝てないことを再認識させられたので、良い勉強になりました」
ロールプレーヤーになるのではなく、自分が中心選手となって優勝を目指す道を選択した小野。しかし、プレータイムは昨シーズンよりも微減し、3ポイントシュート成功率も思うように上がっていない。だが、千葉との2試合では3ポイントシュートを60%で沈め、平均10.0得点を記録するなど、かつての輝きを取り戻すような働きを見せた。
小野も「ここ何試合かプレータイムも増えて、自分なりのリズムも取り戻してきました。このまま継続して、チームの勝利に貢献できればと思っています」と復調のきっかけをつかみかけている。
第2戦はマクヘンリー欠場の影響が大きく大敗を喫したが、初戦は最終クォーターまでリードする展開に持ち込んだ。川崎ブレイブサンダースや琉球、シーホース三河などの上位チームからも勝利を挙げるなど、13勝24敗と大きく負け越してはいるが、決して侮れない存在となっている。古巣凱旋で調子を取り戻した小野がこのリズムを持続させることができれば、信州は他チームにとってこれまで以上に脅威となる。