アジアカップ予選が中止のドタバタから、急遽ブレックスに合流
宇都宮ブレックスは京都ハンナリーズとの2連戦の初戦を戦い、終盤までもつれる展開でも要所で持ち味のディフェンスで踏ん張ることで、76-71と先勝している。これで5連勝と順調に貯金を増やした宇都宮だが、一方でモヤモヤした思いも残る勝利だった。
宇都宮の安齋竜三ヘッドコーチは、「勝つのは本当に難しいことです」と対戦相手の京都を評価し、軽く見ることは決してない。ただ、相手どうこうではなく、自分たちのプレーができなかった点を問題視する。
「自分たちのやるべきことをできる時間が長くなくて、どちらに転ぶか分からないゲームになりました。勝ったことは良かったと思いますが、昨日の練習くらいから(水曜ゲームの)北海道戦の反省の意識が低くて、今日もその通りのゲームになってしまった」
その指揮官と同じく、チームの現状に警鐘を鳴らすのがベテランの竹内公輔だ。
「なかなか序盤から激しいディフェンスもできず、ボールも動かなかった。3ポイントシュートを抑えようとしていましたが、それでもやられてしまうなど、相手のやりたいことをちょっとやらせすぎた印象はあります。明日は今日のダメだった部分を反省して、出だしからやっていきたい」
このように反省する竹内だが、自身はアジアカップ予選の日本代表に招集され、本来は今週の試合に出場しないはずだった。大会の中止を受けて、急遽チームに戻る難しい状況の中での試合だった
「正直、今週の京都戦は出る予定ではなかったので、ちょっと気持ちがリラックスしていた部分はあったかもしれない」と語るが、メンタル面よりもフィジカル面の辛さがあったと振り返る。「気持ちというよりも、水曜ゲームの北海道から帰ってきてすぐに代表合宿で東京に行ったりと移動が最近は多すぎでした。コロナの感染対策で、いろいろと気を使いながら移動するので、そっちの方がちょっと参りました」
「どの試合でももっと危機感を持ち、集中力を高めていけるように」
そんな状況の中でも14分12秒の出場でフィールドゴール4本中3本成功の6得点3リバウンドと、いつものように手堅いプレーを披露。百戦錬磨のベテランらしい適応力を見せた。ただ、竹内にこのタフな日程を乗り越え勝利に貢献できた充足感は、冒頭の発言のようにない。「ちょっと最近、フワフワした形でゲームに入りすぎてしまっているところがあります。今ウチは首位ですが、それは関係なくて、どの試合でももっと危機感を持ち、集中力を高めていけるように、全員でやっていきたいと思います」
フワフワした入りが続く要因を竹内はこう見ている。
「これは僕が思っているだけで、他の選手がどう思っているかは分からないですが、千葉、A東京、SR渋谷にそれぞれ直接対決で3勝1敗と勝ち越している。そういった貯金があることで、今は負けても首位にいられる状況です。ここ何試合かは、もしかしたらそういったところがプレーに出てしまっている部分は少なからずあったかと思います」
これまで数々のタイトルを獲得してきた竹内だからこそ、チャンピオンでシーズンを終えるためには気を抜いていいタイミング、状況などないことを身を以て理解している。そして、じっくりとチーム練習ができる来週からの貴重なバイウィークをより実りある期間にするためには、良い流れのままこの時期を迎えることが大切で、そのためにも今日の試合は宇都宮にとって連勝を伸ばすことはもちろん、自分たちのやるべきことを40分間いかに遂行できるか。その内容も大いに問われる一戦となる。