ベン・シモンズ

守備には絶対の自信「NBAで最高のディフェンスができる選手」

現地2月11日に行われたセブンティシクサーズとトレイルブレイザーズの一戦は、試合を通じて点差の離れない大接戦だったが、シクサーズが主導権を握って試合を進めていた。これは第1クォーターだけで3ポイントシュート4本成功、チェックを強めれば巧みにファウルを誘ってフリースローでも得点を稼いで19得点を挙げた相手のエース、デイミアン・リラードへのディフェンスを修正したのが効いていた。

ディフェンスの修正はシンプルなもの。ベン・シモンズがリラードから目を離さずに守る、というものだ。リラードは第2クォーターにほとんど出場せず2得点。それでも第3クォーターの頭から3本のアシストを立て続けに成功させて、相手ディフェンスにパスを意識させると鋭いドライブでインサイドを突いて得点を挙げた。ここで取ったタイムアウトを機にシモンズはディフェンスの強度を上げ、リラードを抑え込む。身体を寄せて前を向かせず、長い腕で常にボールにプレッシャーを掛けて自由を与えない。

「より激しく、フィジカルに守ろうとした。ガードを相手に守る時は僕のサイズが武器になる。激しく行きすぎるとファウルをもらいやすいのが難だけど、今日は良いディフェンスができた」とシモンズは言う。

「僕は相手のベストプレーヤーの守備を任されることを誇りに思っている。ほとんどのチームではベストプレーヤーはポイントガードかシューティングガードで、僕がマッチアップすることになる。チームメートがそれを任せてくれることがうれしいんだ。実際、多くの試合で僕は上手くディフェンスできていると思う。NBAでも最高のディフェンスができる選手だと思っているよ」

これだけの守備をしながら23得点11リバウンド9アシストと、ほぼトリプル・ダブルのスタッツを残した。プレー内容は勝利に値するものだったが、勝ったのはブレイザーズだった。同点で迎えた残り5秒、ブレイザーズのリスタートでリラードにパスを出させないディフェンスは徹底できた。それでもシクサーズ守備陣の隙を突いたカーメロ・アンソニーがトバイアス・ハリスとの接触で倒れる。ブレイザーズが値千金のフリースローを獲得した瞬間、シモンズはがっくりとうなだれた。

微妙な判定ではあったが、ヘッドコーチのドック・リバースはチャレンジ(映像を見てのジャッジの確認)を要求しなかった。「タイムアウトはあと1回しか残っていなかった。チャレンジよりも最後の攻撃のために使おうと考えた」と指揮官は言う。

ただ、残り3秒からのリスタートでは、シモンズがジョエル・エンビードを狙ったパスを相手にカットされ、最後のチャンスを逸している。こうしてブレイザーズが118-114で勝利した。CJ・マッカラムをケガで欠くブレイザーズは、リラードが抑えられた後の得点をカーメロやアンファニー・サイモンズが繋いでいた。ベンチポイントはシクサーズの19に対し、ブレイザーズは45。ここが勝敗の分かれ目になった。

「ここから学んでいくしかない」とシモンズは言う。勝てる試合を落としたものの18勝8敗、バックスを1.5ゲーム差で抑えて東カンファレンスの首位に立っている。シモンズとエンビードの両エースが軸であることに変わりはないが、ドック・リバースの下でシクサーズはこれまで以上によくまとまったチームになっている。チームに足りないものはベンチプレーヤーのさらなる奮起であり、シモンズに求められるのはカーメロが勝負どころで見せたような抜け目のなさ。ただ、どちらもシクサーズにとっては伸びしろだ。