現実主義な齋藤「オフェンス力があるチームには勝てないんじゃないか」
名古屋ダイヤモンドドルフィンズはシーホース三河との『愛知ダービー』に連敗を喫し、これでオールスターブレイク前から続く連敗は6となった。アルバルク東京、宇都宮ブレックス、そして今回の三河と強豪との対戦が続いたことも連敗が伸びた理由となるが、こうした強敵を倒さなくては栄光はつかめない。さらに今節は大黒柱のジャスティン・バーレルと笹山貴哉がケガのために欠場するという苦境に立たされていた。2人の復帰時期は未定であり、チームを牽引する齋藤拓実の危機感も強い。
バーレルが離脱したことで、名古屋Dは外国籍選手が2人のみでの戦いを強いられた。そのため、ジェフ・エアーズとレオ・ライオンズの負担を減らすべく、ゾーンとマンツーマンのチェンジングディフェンスで今節に臨んだ。一定の効果はあり、対戦した三河の鈴木貴美一ヘッドコーチは「抑えどころを抑えられ、やりづらかった」と試合後に語っている。
齋藤も「JB(バーレル)がケガをして外国籍選手が2人だけになってしまうので、三河だけに対してのゾーンではなく、これからも使っていきます。もちろん、ところどころ直さないといけない部分はありましたが、初めて今節に使った割にはそれなりの手応えはつかめました」と言う。それでも齋藤は現実を見つめ、ディフェンスのテコ入れが必要だと感じている。
「(ダバンテ)ガードナー選手からのアシストも多かったし、チェンジングに関しても、相手にとってもっと嫌なタイミングがあったと思います。相手からしたら怖くなかったと感じていると思うので、もっとチームディフェンスで仕掛けて流れをつかんでいかないと、オフェンス力があるチームには勝てないんじゃないかと思います」
弱みにもなり得る外角シュート
連敗中とはいえ、いまだ16勝13敗と勝ち越しており、平均得点は平均失点を上回っている。それでも、上を目指しているからこそ、齋藤はうまくいっていない部分へと目を向ける。
「自分たちがやりたいオープンショットが打てていますが、決め手が外のシュートばかりになってしまうことは強みであり、裏を返せば弱みでもあります。5アウトでシュートを打っている部分があり、オフェンスリバウンドが少ないので、2点が欲しい時にどういうオフェンスを組み立てればいいかチームとして確立できていないので、正直このままだと良くないと思っています」
齋藤が言うように、3ポイントシュート成功率はリーグ4位と武器になっている。それでもオフェンスリバウンドはリーグワーストとなる7.2で、これは1位の秋田ノーザンハピネッツの半分以下の数字だ。どんなに良いシューターでもシュートは水物であり、入らない時はとことん入らない。また、オフェンスリバウンドが強力なチームほど思い切り良くシュートが打てるものだが、オフェンスリバウンドの取れない名古屋Dにとって、シュートが入らない展開は致命傷となる。しかもバーレルが離脱してしまったのだから、齋藤は危機感を強めている。
この第2戦にしても「良い展開にできたのは外のシュートが入っただけ」と齋藤は競り合ったことを評価しなかった。だが、司令塔の真摯に課題と向き合っている姿は、チームにとって不幸中の幸いと言えるのではないだろうか。齋藤と小林遥太はハーフコートまで素早くボールを運べており、名古屋Dが理想とするトランジションオフェンスの形は整いつつある。
「JBがいない分、ポストでアドバンテージを取られることが多くなるので、もっと攻撃的に仕掛けて自分たちのやりたいトランジションバスケットに繋げたい」。齋藤が言うバスケットボールを体現できるようになれば、ただの強豪チームで終わることなく、優勝を争う真の強豪への道が見えてくるはずだ。