カイリー・アービング

「僕は少し歩みを止める必要があっただけ」

現地1月5日のジャズ戦に出場した後、『個人的理由』でチームを離れていたカイリー・アービングがネッツに戻って来た。コンディションに問題はないようで、現地20日のキャバリアーズ戦から戦線復帰となりそうだ。

会見に応じたカイリーは、長くチームを離れた理由を「家族や個人的なことが多かった」と説明。アメリカ連邦議会占拠事件がきっかけだったという説もあるが、彼は詳細には触れず、「圧倒的な出来事が起こると、少し立ち止まらなくてはならなくなる」とだけ語った。

カイリーは『Black Lives Matter』活動が盛り上がってきた昨シーズン、選手会の会合でプレーを再開すべきではないと主張している。結局、その意見は採用されなかったが、NBAのシーズンが再開すれば人々の関心が社会正義の実現から離れてしまう、というのがその理由だった。彼はその後もBLM活動に深くかかわっており、今回チームを離れている間にも様々な活動をしたようだ。

BLM活動が大きくなるきっかけとなったのは、昨年にミネアポリスで警察官に拘束された際に、首を絞められて殺害されたジョージ・フロイド氏の事件。カイリーは今回、その遺族に住居購入の支援をしたことが明らかになっている。

「この世界で起きていることに影響を受けていないと言えば嘘になる。僕は変化を起こしたい。リムにボールを入れることよりも大事なこと、抑圧されているコミュニティの存在とかが世界ではたくさん起きている。人々を手助けすることに対して僕は深いレベルの感情を持っている。僕が生きているこの人生には普通のことなんて何もない。この世界は時に奇妙な場所だけど、みんなで我慢してお互いにどう感じているか真実を話していれば、それは大きなことだ。僕は正直でいたいし、正直でいるためには自分に正直でなければいけない。僕は正直に話している。バランスを取るのは大変だった。僕は助けを求めて、多くの人が手を差し伸べてくれた」

そして彼は戻って来た。チームを捨て置いて7試合を欠場したことで批判を集めたが、「だけど僕はプレーすることを愛している。そこに疑問はない。僕は自分の行動すべてにたいして責任を取る。戻って来ることができて良かった」とカイリーは言う。

彼が不在の間にジェームズ・ハーデンが加わったことには「興奮している」とのこと。「偉大な選手と一緒にプレーできる。ジェームズはチームに経験をもたらしてくれるだろう」と語る。

カイリーには彼なりの理由があったのだろうが、ファンはチームに対する忠誠心が低い、プロフェッショナル精神に欠けると彼の立ち居振る舞いをネガティブに見ている。カイリーが「自分の行動すべてにたいして責任を取る」と言う以上、それはコートに復帰して質の高いプレーを見せ、チームに勝利をもたらすことでなければならない。逆に言えば、プレーで信頼を取り戻すことはできる。復帰戦でのカイリーのプレーに、また新加入のハーデンとのプレーに注目したい。