エリック・ゴードン「これで僕らは前に進める」
ジェームズ・ハーデンを中心とする4チーム間の超大型トレードが成立して迎えた現地1月13日、ロケッツはエース抜きでの第一歩を踏み出した。
2016年にロケッツに加わったエリック・ゴードンは、ハーデンとともにプレーする期間が長かっただけに、ハーデンのトレード要求に端を発する騒動にこれまで沈黙してきた。そのゴードンが「シーズン開始から、彼はここにいることを望んでいなかった」と思いを語る。
「僕は彼のことを個人的にもよく知っているから、僕らをリスペクトしていなかったわけじゃないと思っている。ただ彼は違うシチュエーションを望んでいた。僕らを見下すつもりはなく、ただ出て行きたかっただけなんだ」
その一方で、今シーズンからロケッツでプレーするデマーカス・カズンズはハーデンの態度に腹を立てており、ハーデンへの不満をはっきりと口にしている。
「コート外でのふざけた態度は、昨日の夜に突然起こったことじゃない。トレーニングキャンプへの向き合い方からずっとそうだった。これは仕事への向き合い方の問題で、組織に対して思うところがあってもいいが、ロッカールームの14人が彼に何かをしたわけじゃない。僕らに失礼なコメントや無礼な態度を向けられるのはフェアじゃない」
これからのロケッツでリーダーシップを取るであろうジョン・ウォールはこう皮肉った。「いろんな選手が集まるからそれぞれに不満はあるだろう。でも、それが大変であっても特別な何かをやってチームとして向上していくのが僕らの仕事だろう。たった9試合で崖から飛び降りるとはね」
いずれにしても、モチベーションを失って不平不満を漏らす『元エース』を抱えていることは、ロケッツにとってデメリットが大きかった。開幕前にはまともな見返りが得られずに成立させられなかったトレードを、シーズン序盤のうちにまとめられたことで、ゴードンが言うように「前に進める」ことになる。
これからチーム再建に舵を切るであろうロケッツにとって、大量のドラフト指名権こそ狙っていたターゲットであり、『今すぐに勝たないといけない』にもかかわらず序盤戦で絶好調とはいかなかったネッツの状況を上手く利用できた。また、ハーデンの代役として選べる中では最善だったはずのキャリス・ルバートを回避して契約最終年のビクター・オラディポを獲得したことは、サラリーキャップに余裕を残す意味があってのことだろう。これでロケッツは今シーズン終了後のフリーエージェント市場で動けるようになった。
昨シーズン終了後にヘッドコーチとGMが去り、そして『チームの顔』だったハーデンも去った。これから新たな一歩を踏み出すロケッツがどんな方向に進むのか、大いに注目したい。